2月も最終週を迎え確定申告も酣(たけなわ)となって参りました。先週にも触れましたが毎年増加する医療費控除のための領収書の膨大な量にはホトホト手を焼いております。医療費控除など昔は滅多になかったことなので我々は無償サービス業務にして居ましたが、最近になって医療費を計算する事務量は所得税ソフトに入力するだけで数秒で税額が得られる年金申告などの数百倍の時間を要しますが、今更医療費控除の代金を追加請求する訳にも行かず困惑して居ります。全てこれらの原因は医療費の高騰と一部負担金の増加に帰するものと恨めしく思っておりますが、一体から誰を怨んだらええのや!{%怒りwebry%}
医療費の高騰で想い出したのですが先週20日水曜日の新聞に一斉に報じられていた大阪泉佐野の市立病院が欠員に伴って、麻酔の先生を年収3500万円で募集を始めた記事でした。病院によればパートの麻酔医の日当が一日12万円(1万2千円ではありません!)だったので、その金額を基準に計算すると3500万円になったそうです。12万円とは暴利ではないか!と考え、昨年春偶々愚息の入院手術時の請求書を捜してきて見て愕きました。手術料5万数千点の下にこっそりと麻酔料14363点と記入してあるではありませんか!1点10円ですから143630円ですよね。大きな病院だと一日2-3件の手術はあるでしょうからパートの麻酔医に12万円払っても病院は損をする処か、しっかりと儲かる仕組みであることが良く分かりました。(;;)全身麻酔などの場合全員異なる患者の体質などの検査が大変ですから、麻酔医の重要な存在は認めますが、それにしても年俸3500万円には魂消てしまいますね。(;;)
前述の請求書の支払い時にはほろ苦い思い出まであります。室料も含めてかなり多額なお金を銀行から振り込んだのですが、窓口の女性が私に領収書を渡しながら“おめでとう御座います”とにっこり宣(のたま)うたのでした。何事か良く分からず一瞬戸惑ったのですが領収先の受取人“神戸大学”を見て、この窓口嬢(小母さん?)は私の子供か孫の入学時の入学金か授業料と勘違いされたもののようでした。咎める気にもならずにっこり笑って帰宅しましたが、あのときはとても複雑な心境に駆られましたよ。(;;)
先週の重大事件は何を置いても房総半島沖で勃発した自衛隊の誇るイージス護衛艦“あたご”があろうことか回避義務を怠って父子の操縦する漁船”清徳丸“に衝突し、哀れ漁船の父子の命を奪った悲惨な事故につきました。7750噸のイージス艦にとっては7.3噸の漁船は芥子(けし)粒のようなもので、自衛艦は歩哨が10人も居たとは謂え一日3交代の8時間勤務では絶えず緊張を持続するのは難しく、トイレや食事でしょっちゅう持ち場を離れていたことは想像に難くないし、早朝4時では目を開けて居ても全員心は眠っていて帰港後家族との家庭団欒(だんらん)や恋人との逢瀬の夢でも見ていたでしょうから、目を凝らしていても見えるかどうかの漁船が発見できる道理がありません。又10人も居たばかりに誰もが他の誰かが見てくれているだろうと心の隙を睡魔が襲ったとしても決して不思議ではなく、見張りは3人が充分で正面と右舷側と左舷側に配置し15分に一回宛次の見張りと交代すれば緊張感を以て歩哨が務まり、こんな無様な事故は回避されたに相違ありませんが、全ては役人によって机上で作成されたマニュアルが事故の原因を招いたに違いないと思います。
乗員達の証言がコロコロと変わってきて“あたご”は衝突12分前に清徳丸らしい船を発見し乍ら其の儘忘れたらしく徒(いたずら)に放置し、船舶銀座と呼ばれる海域を規則で定められた警笛一つ鳴らさずに漫然と衝突1分前まで自動操舵を続けていたなど我々素人でも考えられないことであり、漁業関係者達だけでなく国民全ての不信感を駆り立てています。事故当時に艦長の所在が今日現在未だに公表されずに国民を不快な思いにさせて居ますが、恐らく艦長は自動操縦中でもあり公海上と思ってベッドで熟睡中だったのに違いありませんが、初めから全てを明らかにして土下座して素直に謝って居ればこんな最悪の事態にならなかったものを、恐らく船の仕組みに無知な本省背広組の連中が彼等の口を無理に封じ隠蔽工作に走ったがために話の辻褄が合わなくなり、少し宛ボロが出てきて今となっては修復不能に陥ったのが真相でありましょう。
自衛艦と民間の船舶との事故は88年自衛隊潜水艦”なだしお”以来のものであり、あの事故で学んだ教訓が今回全く生かされていなかったことは真に遺憾です。
この自衛艦にはナントカ次官やナントカ洋行が介在したせいで1400億円もの無駄遣いがされており、高性能の防空レーダーを備え敵のミサイルや攻撃機をコンピュータで識別し、直ちに破壊できる防禦システムが装備されているそうですが、“灯台下(もと)暗し”で眼下の小船すら識別できないのではミサイルを挟撃できるとは到底思えず何がハイテク船じゃ!(;;)
今回の事故ではヤクザの親分のように何時も顔を歪めている(もとが歪んでいる?)石破茂防衛相に情報が伝わったのが事件後1時間半であり、総理に伝わったのが2時間後であったとか…(;;)危機管理危機管理と年中言っていながら、この伝達の遅さには魂消ますが、お役所には名前だけでもそれぞれ直属の長が居ますから、必ず上司の決裁を通すのが規則であり、幕僚長辺りにまで情報が上がるには数箇所の関門があり、事件によっては途中でストップされて行方知れずになるものも少なくないと思います。全てはその上司が情報を上部に上げるか握り潰すかの権限を有していますから、早朝の情報伝達は上司が寝ているために電話が通じないからと飛び越して更なる上部へ情報を伝達することは決して赦されず、上司が目覚めるまで待たねばならぬのはお役人の宿命です。
石破防衛相は情報伝達の遅速の改善に急遽防衛省と自衛隊の連絡体制改善を命じたそうですが、実はその後緊急時には会場幕僚監部より背広組の上司を飛ばして直接防衛相秘書官に報告できる通達が存在することが判明したそうですから、何のための法律やら内規やら分からず、周知されない規則などない方がマシです。この通達の存在を勿論知らなかった石破防衛相は4時過ぎに叩き起こされなかったことを内心一番喜んでいるのではないかと思いますが、伝達方法の不備はさて置き、防衛相への伝達が例え10分後であったとしても、オロオロするだけであの防衛相に救助の智慧があろう訳がなく漁師の父子二人の命が救われたとは到底思えず、寧ろ事故直後の10分間が厳寒時の海温から考えて遭難者の生存を左右する貴重な時間でありますから自衛艦の基地に事故の状況を連絡して説明する暇があれば、自衛艦の全員が海に飛び込んで父子二人の救助に全力を尽くすべきではなかったでしょうか。いやいや、イージス艦員全員にそれ位の気概があるならこんな事故(事件や!)など起こっている筈もなく、衝突は容易に回避されていたことでしょう。(;;)
不運だったのはこの父子のお父さんが心筋梗塞の持病があり23歳の子供が”かなづち“であったことでした。漁師をしていて”かなづち“とは珍しいことですが、操舵室が直撃され真っ二つに切断されての事故ですから、例え水泳の選手でも助からぬ運命(さだめ)であったでしょう。清徳丸の親子二人は操舵室レーダーのモニターから海上衝突予防法の定めた通り右に曲がって行く筈のイージス艦が目の前に現れたのを見て”ウソー“と叫びながら操舵室もろとも海中に投げ出され自分達の状況が何も分からぬ内にあの世へ旅だったと思われますから、この儘では到底成仏できる筈もなく、三途の川を彷徨(さまよ)い、イージス鑑の艦員全員の夢枕に出ては、自分達は今何処に居るのか?と聞いて廻り、上司からの訊問に対して”実は見ていませんでした“と真実を吐露しなかった彼等は真夏でもないのに悪夢と冷や汗に魘(うな)される毎夜を送っていることでしょう。私からのお願いなのですが、何の役立たずの上事件の隠蔽工作に懸命で業者のゴルフ接待に現を抜かし高給を貪っている防衛省の背広組の連中の夢枕にも吉清さん親子に是非出て来て頂きたいですね。(^^)
この事件を考えれば考える程、事件の根幹をなす背景には隠蔽工作以前にイージス護衛艦の艦長以下乗員全員にきっと心の驕りがあり、自分達が通れば海上での船同志の決まりや法規など糞食らえであり、規則で定められている警笛すら鳴らさずに、恰もパトカーが赤色灯だけで緊急自動車でもないのに傍若無人に速度違反で走っている如く、漁船の方が当然避(よ)けるものと信じて疑わなかった処に、事故ではない未必の故意とも謂えるこの事件が惹き起こされたものに相違ないないと考えました。
石破大臣は自衛官の“誇り”が“驕り”に変わったと今日のNHK日曜討論で述べられましたが、“誇り”が真実であれば“驕り”に変わることは決してありません。自衛官の“誇り”は“埃”の間違いでしょうね。(;;)
今回の事件は有名な小林一茶の名句『雀の子 そこ退け そこ退け お馬が通る!』から伝わるユーモアとは無縁のものであり、せっせと働く蟻達を踏み潰すことを容赦しない悪餓鬼を連想するものでありましたが、無学な漁師達を“人”と考えていない本庁の背広組(キャリア組役人)を含めて護衛艦員全員の倫理観について徹底した再教育の必要があると考えました。{%怒りwebry%}
僚友達地元漁協による清徳丸父子の捜索は本日も未だ続いていますが、後日防衛省に請求される莫大な捜索費用と得べかりし漁業利益の損失補償の全額を、私は税金ではなくイージス護衛艦“あたご”の全員と本省背広組の給与や将来の退職金から支弁すべきものであると提言させて下さい。
最後に清徳丸の父子二人のご遺体が一日も早く発見されることを心から祈りたいと思います。合掌
先週の答え
『石に漱(すす)ぎて流れに枕す』
負け惜しみが強くて自分の誤りを認めようとせず強弁すること。
中国の故事であり、孫楚と言う人が『石に枕して流れに漱ぐ』と言うところを言い間違えましたが、“石に漱ぐは、歯を磨くためであり、流れに枕すは耳を洗うため”だと言い張った牽強付会の故事から…
夏目漱石のペンネームはこの故事から取った者だと謂われ、“流石”の言葉もこの故事に由来するそうです。(^^)
今週の問題
【白河夜船】(しらかわよふね)
この意味とその理由をお答え下さい。