台風一過と謂うが先週通り過ぎた颱風は日本列島に大きな傷跡を残して行ったが、それでもその後は夜の気温が下がって其処ら此処らに秋らしい清冽な空気が漂っている^^。最近少し気掛かりなのはトンボのアキアカネが見られなくなったことだ(;;)、2-3年前までは街の中でも沢山飛び交って居て野球帽でも簡単に捕獲できたからどうしたんだろう。田圃が少なくなったことが一番大きな原因だと思われるが、農薬使用のせいも大きいのかな。此のトンボは夏から秋の風物詩だったから寂しいよな。
「女心と秋の空」とは昔謂われた言葉であり、今では「男心と…」に変ったと謂われるが、どっちもええ勝負だろう。此から秋の空は千変万化を経て冬に向かうことになり、年の瀬を迎えることになるのだが私に残された余命のことなど考えると何故か急からしく焦燥感に駆られてならない。
今朝の毎日新聞朝刊第一面五段抜き、「過労自殺の若者急増、どうか誰か助けて!」全国700店舗の外食チェーンを展開する「ワタミフードサービス」の社宅に住む独身女性(26歳)が「誰か助けて下さい」と手帳に走り書きして自殺し、労働基準局は遺族の不服申し立てを受けて4年掛けて渋々労災を認定した。月154時間もの超過残業による長時間労働による適応障害が原因だ。我々世代の人間とは心身の鍛えが違い乳母日傘の世代だから月154時間は想像を絶した生活だったのではないかと思う。外食産業は仕事がきつくて給与が廉いので定評があるから残業代を稼がないと食って行けないし、そうすると此までの脆弱な生活とのギャップに苦しむことになるが、単純に計算して就業時間は1日平均12時間となる、然し時代を遡ると昔の水呑百姓は土日の休みなく野良で早朝4時から日暮れまで14時間以上働いて居たし、私も26歳当時は朝7時から夜8時まで働きその後夜中の2時まで税理士受験勉強をしていた。だから私ども世代の人間にとって週に40時間制で154時間の残業は過労自殺の原因とは到底考え難い、他の同僚も同条件で働いて居ただろうから、辛いのなら「ワタミ」を辞める選択肢があったのではなかったか?国元で案じる親の心も知らずに我が身勝手に死を選んだ彼女の心がまるで分からない。最近堪えることを知らない軟弱な若者は彼女一人に限らないが、どうやら私が考えるに、最近の若者は誰も人との一定距離を置いてその中に踏み込ませず殻に閉じこもり、人生の確たる目標も持たずに流されて、心を支え合い励まし合って生きて行こうとする恋人や友達を持とうとしない人間関係が彼女の死を招いたのではなかろうか、昔懐かしい三世代家族などで育った子供ならお祖母さんなどに助けを求めることができたと思う。
昔の子供は数え7歳で奉公に出された朝ドラ「おしん」のように口減らしに奉公先に売られ朝の4時から深夜遅くまで田舎の母を思って大根飯すら満足に食えずに歯を食いしばって懸命に働いたではないか!世の若者よ、一日の半分を働くことで心が折れるなんてそんな軟弱なことでどうするか、人生を甘く見るでないぞ!
何かの書物に書かれて居た。「働く」とは「人が動く」と書くが、真の意味は「傍(はた)が楽をする」ことだそうだ。傍(はた)は家族のことなんだろうか、職場の同僚のことなんだろうか、故事付けかも知れないけれど働くことが自分のためでなく他人(ひと)のためと謂う処がいいと思った。この過労死?した女性は自分のためにしか働かなかったに違いない。この女性には悪いが、究極自分の持つ哲学と親の教育が誤っていたのだと思うしかなかろうな:-)。
又何時もの漢字の話で恐縮だが、我々の姓名の名前の方は戦後人名漢字なるものができてから親が好き勝手に付けられないようになったが、姓の方は古来先祖から決まったものを受け継いできたため実は世の中には存在しない字を使った姓や異体字の姓が少なからずあったのだ。此について法務省はJIS漢字のこともあって悩んだ挙げ句が結婚などで分籍(新たに戸籍を作る)する際に、職権で姓の異体字などを正しい漢字に訂正させることでその内変な字を根絶させる作戦に出たそうだが、厭だと頑張られて裁判になるケースもあるとか…(;;)。
こんな話になった切っ掛けはうちのお得意先であるTさんの姓の一部が「瀧」の異体字であって、旁(つくり)の下部にある「三」が「テ」になって居たことを平成7年先代が亡くなられての相続税申告時に戦前からの縦書き戸籍謄本や除籍謄本を見て憶えて居た。この字が「瀧」の異体字であることが記された漢字辞典があったので、先日Tさんにその後どうなったかと訊ねると彼が10数年前結婚届け出の折に市役所から新戸籍の苗字の一部を「瀧」に変えますよと強制されたので已むなく承知されたそうだ。「ふーん、そうなんや」とそうこうしている内に先週の毎日新聞夕刊に芥川龍之介の真筆が登載された。

編集者に提出する直前の生々しいもので乱雑な原稿だが自分の姓名だけはちゃんと書かれている。写真に見られるように「龍」の旁の中の「三」が「テ」になって居り、さんずいを除けばお得意先のTさんの姓の旧戸籍の一部と全く同じ字だ。芥川龍之介は一高を推薦で入り東京大学文学部を優秀な成績で卒業した碩学だからよもや自分の名前を間違える道理がない、きっと明治の中期には「龍」も「瀧」も旁は「テ」が正字であったのではないかと考えた。そしてその後の漢字学者が勝手に「三」を正字に決めたのではないだろうか。漢字を学ぶものとしては「三」では「二」に紛らわしくて誤り易いから「テ」の方が憶えやすいから漢字学者を怨めしく思う。「龍」も「瀧」も一級の配当漢字だが漢検のテストに「あくたがわりゅうのすけ」の書き取りが出題されて「龍」の旁を「テ」と書いたらきっと×になるんだろうな。私のパソコンのワープロソフトでは如何に変換しても「テ」の龍が見付からぬのが無念でならぬ:-)。
先週の常用漢字の表外読みの答え
彼はイヤだと(頭)を振った。 (かぶり)でした。
今週の常用漢字の表外読み問題
(熱)が冷めるまで姿を隠す