先週裏庭の石蕗(つわぶき)が開花した。この花が咲くと忙しない師走の慌ただしさと冬の訪れを実感する。

画像

先月11月の日経新聞「私の履歴書」はオムロン名誉会長の立石義雄氏だった。此の「私の履歴書」は政財界のみならず芸術の世界も含め一代で功成り名を遂げた方が登場され一ヶ月間執筆される。此処に登場できることは一つの世界で一流になれた証明だから、誰も拒まないで嬉々として登場されるようだ^^。一ヶ月間の連載は400字詰め原稿用紙にして約90枚大変なボリュームでちょっとした短編小説だから、中には書くのは苦手だと謂う方が結構多いと思うが、そんな方には談話を聞き取ったテープからゴーストライターがちゃんと書いてくれるから本人も満足するに違いない。今月の立石氏は立石電気を創業され医療機器などを開発されたベンチャー企業の元祖立石一真の三男で三代目社長(二代目は長男で短期間だった)を務められオイルショックも経験されオムロンに商号変更後ATMや自動改札機で時代の寵児となった方だ。初代の立石一真は世に希な立志伝中の人であって、立石電気を一代で技術大国日本を代表する先進企業にまで成長させた技術畑一筋の苦労人だが、大学も出ないのに世界に発表する英語の学術論文を出されるなど理系の鑑と云うべき人であり、1975年の日経新聞「私の履歴書」に出られたから、親の七光りとは謂え、同じ会社で親子続けてこの栄誉ある「私の履歴書」への登場は例がないように思われそれはそれで立派だなと思う。
この三代目は同志社を卒業した営業畑の人だからお父さんと違って難しい話でなく現場での苦労話が面白く、国鉄(今のJR)からの発注で現地組み立ての自動券売機の納入をする際徹夜での調整作業が捗らず、始発電車の動き出す時間となり、微調整が終わらないため已むなく券売機のお金が投入されると器械の裏に居る立石の社員が間を置かずに切符を受取口に出すことになったそうだ^^。「あっ、手が見えた!手動販売機や」の個所では笑ってしまったな^^。又、住友銀行本店では堀田頭取がCDにカラクリがあると思われて紙幣が出てくるのを見届けるや即座に裏側に回って扉を開き人が居ないことを確かめられ「うーん」と唸られたたとか…^^我々は日頃何も思わずに使っているが指というものは如何にも精巧なもので、どんなものでも人の指に代わる新製品は言葉に尽くせぬ苦労が多かったのだろう。それに昔は誰もがアナログ人間ばかりだったもんな。
先週木曜日の夕刊を見て魂消た(゚ロ゚)。大阪の或る会社員の男が独自で競馬予想ソフトを構築し、07年から09年の3年間に1億4千万円(馬券を28億7千万円購入し約30億円の払戻金だった)稼いだが、ネット馬券だったために国税局の知る処となり、哀れ5億7千万円の追徴課税されたそうだ(;;)、通常の考えでは1億4千万円の儲けに対し最高で40%の所得税と無申告加算税と思うが、所得税法には斯くなる競馬や宝籤の所得は一時所得であり50万円を控除して更に残る2分の1に対し税金が掛かる決まりとなって居る。2分の1なら税金は随分廉くなりそうだが、法律の考え方は一時所得の決まりは勝ち馬券の購入費しか控除して貰えない仕組みなので28億7千万円の購入馬券の内外れ馬券の購入費は含まれない。三連単一回こっきり大儲けた人が税金の申告をする場合、其の儲けた三連単の購入馬券しか控除しないことで、きっとその同じ日買った他の外れ馬券の購入費を認めない精神での立法なのだ。此の定めのお陰で此の会社員は所得こそ2分の1して貰えたが外れ馬券(計算上12億9千5百万円となる)を全く引いて貰えなかったので30億円の払戻金(購入費15億7千5百万円と推算される)の利益部分14億2千5百万円が収入金額とされたものだ(;;)、銀行口座へ発端の元金は1千万円だったそうだが、此の損得から想像するに中穴馬券ばかり狙っていたに違いなく、よくぞ20%のテラ銭がクリアできたもんだと感嘆頻りだ^^。然し実際に損をしているものを無視して損益の計算外とする国税局の遣り口は、彼が年間を通して数年間も継続して馬券を購入しているのに無理矢理一時所得の範疇に填めることは法の精神を逸脱して居るし、「一時」と謂う日本語の解釈からしても怪訝(おか)しいと思われる。何故ならこの方が株の相場師のように、競馬のプロとして事業所得或いは雑所得の申告をして居れば外れ馬券は当然に控除されて居たから、申告していないだけの理由で所得が変更されての一時所得扱いはどう考えても税法への身贔屓(びいき)としか思えない。此の会社員現在滞納税金に対し年14.6%の延滞税まで課せられ、給与の4分の1を差し押さえられ家族の生活まで脅かされて居るそうだが、給与30万円の4分の1では延滞税の足しにもならず滞納額は野放図に増える一方だ。昔国税局は払えない税金は所得を負けて呉れて払える税金で止めてくれる血も涙もある役所であったが、世の中不景気になって国税庁のノルマが達成できなくての所業だろうが阿漕なことをするもんだな:-)。大体一時所得の基本概念は単発的な大儲けや数十年掛け続けた生命保険の満期金や三連単の大穴などについて税の歯止めとして設けられたもので、継続的な馬券買いに対し、儲けたものだけに課税して外れたものは無視するなど、牽強付会も良いとこでまるで弱い者苛め悪代官の遣り口だ、此を権利の乱用と謂う。外れ馬券は無視して儲けた馬券だけ課税されるなら世の中脱税の不届き者がゴマンと居ることになるが、国税局は此の会社員に追徴課税するなら他のゴマンも連座させねばならぬから、今回の処置は不公平極まりない。或いはネット取引の場合は情報が入手できるから課税資料から多くの者が税務署へ呼び出されお灸を据えられているのかも知れぬが、毎週土日になると競馬新聞と色鉛筆を片手に競馬場で過ごすことを日課としている多くのアナログファンは資料化されることがないから課税できない不公平を国税局はどう説明するのだろう、課税公平の原則は何処に行ったんだろうか?
日本JRAは日本の政府が作ったもので毎年3000億円以上「下記(注)参照」も吸い上げて居る。宝くじのテラ銭は50%を超すから法律で無税にし、20%は課税だなど理屈に合わない、上場株式の売買差益(損は控除して貰える)は10%の分離課税だが富裕層ばかりを優遇する現在の税制は改められねばならぬ。「ハイセーコー」の登場以来隆盛を誇った競馬界ではあるが此処最近は若者の嗜好も変わり頓に売上が低下している。今回の事件は更なる顧客低下を招き、折角培った多くのネット顧客を失うものだろう。此は「金の卵を産む鵞鳥を殺すな」のイソップ童話に学ぶべきだ。告発された彼は既に3年間既に6億円(30億円×20%)ものテラ銭を徴されているではないか、其れは税金と代わらんのと違うのかな。今回の国税庁の犯した罪はアンチ大岡捌きであり、世界中が納得して居るイソップの世界を否定するものであった:-)。
今月裁判官がどんな判決を下すか注目されるが、裁判員裁判なら外れ馬券も控除してくれるだろうが、法律の条文で凝り固まった石頭の裁判官ならダメだろうな(;;)。そうなれば判例となるから競馬ファンも競艇ファンもきっと大挙して去って行くことになるだろう。農水省は国税庁に文句の一つも言えんのか:-)。
(注)日本中央競馬会を監督する部局は、農林水産省生産局畜産部競馬監督課である。世界最大の馬券売り上げを誇り、毎年3000億円以上を国庫に納入している。
この会社員悄(しょ)げて居ないで少し知恵を働かし苦労して自ら構築した馬券ソフトをコピーして1部10万円位でオークションに掛け脱税したことまで書き込めば1万本位直ぐ売れるだろうし、「競馬で1億4千万円儲けた男」と本を書けば滞納税金位直ぐ取り戻せるのではなかろうか^^。
12月から「私の履歴書」は元総理の森善朗となった。私はこの人が嫌いで全く読み気がしないのでパス。
先週の常用漢字の表外読みの答え
彼は一族の(覇)だ、(はたがしら)でした。
今週の常用漢字の表外読みの問題
ことの真相が(露)になる。