師走も中盤に入り愈々町ではジングルベルが鳴り響き歳末商戦が始まろうとしていますが、笛吹けど踊らずで買い物客が一向にやって来る様子なく、イルミネーションの輝きが反って不景気を寂しく象徴しているように思えてなりません。
12月に入り先週は色んな事件がありましたが、NO.1は何といってもみずほ証券のマザース初上場ジェイコム株の誤注文でしょうか、金主はみずほコーポレイテッド銀行でしっかりしていてもこの株屋さん5年前に出来立てのほやほやですから、従業員は寄せ集めであり玉石混淆(石ばっかりかも…)であったようで証券マンとしての充分な基礎教育がなされていなかった如くであり、危機管理体制も不十分であったことは否めません。ATSを解除して走る何処かの電車の運転手のようにコンピュータの警告を無視したお返しが300億円もの損害とは魂消ましたね。この手のミスは過去にも数回ありましたからもう充分対応策が採られているかと思ったらさに在らず、相変わらず放置されていましたから起こるべくして起こった事故と謂えましょう。私も昔500円株を50株と誤って買い注文し、お金の調達に右往左往したことがありましたが、売り注文でなかったことが未だしも不幸中の幸いでした。今回も注文が買いなら誰にも相手にされず、注文主に謝るくらいで済んだでしょうが、売りだった処に悪夢の幕開けとなりました。東証は三度もみずほ証券に電話して注文の真偽を確かめたそうですが、機械なら兎も角気付いたのは人間ですから確かめるまでもなく明らかに誤注文だと3年生の子供でも分かりそうなものですし、今回の売出株式数どころか発行済株式数をも遥かに超える(42倍とか)注文ですから注文到着時にエラー消去できなかった東証側のシステムにも問題がなかったとは言えないでしょう。片や電話を掛け続け、みずほ証券は端末から注文の取り消しに必死であったそうですが、ジェイコムの取引成立の初値は672000円でしたから、東証のシステムで自動的に10万円安の572000円を下値制限とされるため572000円での売り取消を試みていたら事態は容易に収拾されていたでしょうが、みずほ証券の社員がそれに気付かず当初誤注文の1円の売り取消に懸命になっていたため東証側システムに認識されず、誤注文に気付いた便乗組が闊歩する羽目に陥ったものです。発行されて居ない株まで売ってしまった訳ですからお金ででも解決するしかありませんが、"わしは株券が欲しい"とごねる連中が出るに違いありません、株券の受け渡し期限である13日には一体みずほ証券はどう対処するつもりでしょうね。
みずほ証券には既に300億円を超える損失が確定していますが、その反面何処かに300億円儲けた奴が居ることになります。勝負は売り誤注文後のたった16分間の出来事でしたから99.9%はネット取引の連中であり、それも個人なら買い注文に前金が必要ですから間に合わず、前金の必要のない楽天やライブドアを始めとするベンチャー企業の証券部門がそれぞれ荒稼ぎをしたものと思われます。
ま、銀行は何処も儲け過ぎだし、みずほ証券も前期に500億円も儲けていますから、みずほコーポレイテッド銀行(みずほ証券の親会社)の財産をベンチャー企業に寄付したと思えばそれでええか(^^)
2番目の話題は天下の松下が惹き起こした温風器事故でしょうね。ホースを交換したばかりの石油温風器での一酸化炭素中毒事故は痛ましい限りでありますが何故?との思いが強いのは私だけでなく皆様もご同様でしょう。
最近連続的に起こって巷の話題を独占している松下電器製石油温風器の事故ですが、20年位前に三洋電機が同じ石油ファンヒーターで事故を惹き起こし、事態の収拾が後手後手に回り事件を大きくしたことは記憶に新しいところでありますが、今回の松下の場合も同じことの繰り返しでしたね。
三洋も松下もどちらも電気屋であり決してガス屋ではありません。従って金儲けのために十分な技術を有さずに物真似風に自社のブランドを利用して他業種に参入したに過ぎず、事業の亜流でもあり未熟な技術による製品であったことは想像に難くありません。
然し客はナショナルのブランドを堅く信じて買っており、欠陥商品に高額な代金は金額の多寡は別にしてもヒューザーや木村建設もどきではありませんか。
山形県の温風器のホースの取替え後の事故では修理担当者が山形署に任意ではありますが事情聴取を受け更には業務上過失傷害罪で書類送検されるまでに至りましたが彼はマニュアル通りの作業をしただけであり、マニュアルにホースをきつく絞めるように書いてあれば兎も角"軽く絞めれば充分"と書いてあったのではこの修理マンを責めるのは酷であり、責められるべきはマニュアルを作成した製造現場の技術担当者でありました。恐らく彼等は机上で設計や強度計算を行った設計事務所のような技術屋であり実際に出来上がった製品を自分の力で試すようなことはしなかったに違いありません。"きつ"くと"緩く"の表現は腕や手先の力には個人差が大きく、ある人にはきつく絞めたものでも別の人には緩いと感じることだってありますから、緩くの表現をマニュアルに記載するに際して複数の工場職員達に実際装着時の意見を聞くべきではなかったでしょうか。
山形県のある家電販売店の店主が4月に販売店の会合で松下電器の担当者に"交換するホースが銅製に変わり重くなったのに差し込み部分が短くなり(僅か20ミリ)ホースが抜け落ち易い"と指摘し、ホース下に支えの土台が要ると改善を求めたそうです。然しその後本社の社員が来てホースが外れても一酸化炭素は漏れないし、しっかり止めれば外れることはないと話して対処して呉れなかったと証言していますが、中毒事故発生により12月4日警察の捜索に現場を立会いホースが外れていたことを確認した松下は慌てて4月以降に修理した約4万台について調べた処、修理後のホースの抜け落ちは9日現在全国で13件も確認されたそうですから抜け落ち寸前のものは無数にあったことでしょう。この店主の貴重な意見が一体本社の何処まで上がっていたのでしょうか、何処かで口を噤んでしまった社員が居たものと思われますが、"そんな詰まらんことなど稟議などするな!"と上役に怒鳴られることを恐れたものでありましょう。悪い奴は稟議を書かなかった社員ではなく、普段の言動から彼に稟議を書く勇気を起こさせなかった上司でしたね。
こんなとんでもない事件にまで発展し松下電器は遂に200億円を超える損害を蒙ることになりましたが、会社が末端の声を汲み上げ早期にこれら欠陥商品の回収に臨んでいればこんな大事件にならずに済んだものを部下と上司の意思疎通の乖離に加えて社員教育の不徹底と現場軽視の体質がいみじくも露呈したものでありました。幸之助さんがあの世で何と言って嘆いて居られることやら…
三番目はカシオ計算機の115億円以上の横領事件ですね。8年前に経理部の次長が担当していた同社のアメリカの銀行に開設した口座に入れてあるお金をさる金融ブローカーの口座に送金したことが社内調査で発覚し、回収のためこの次長を米国に派遣したら更に大金を誤魔化して行方をくらませ懲戒免職になったものですが、最近になってこの次長が大分県で土木作業員になって潜んでいるのが発見され逮捕されたものです。公訴時効の7年が経過しているため容疑は17億円横領容疑となりますが、もう1年発見が遅ければ逮捕もできぬ処でした。
この元次長の手許には着服したお金が全く残って居らず事件は謎に包まれていますが、この会社はどうしてお金を不正に送金した当の本人をアメリカに回収に行かせたのか私にはまるで合点が行きません。恐らく会社は不正送金分を取り返してくれば刑事告訴は許してやるとか言ったに違いありませんが、次長さんはお金を回収しても会社での自分の席がなくなっていること位子供でなくても分かりますから"毒食わば皿まで"は当然の帰結であり、愚かだったのは彼を渡米させたカシオの純朴な首脳陣でありました。先々週のカシオワールドでのミッシェル・ウイーの予選落ちのチョンボと言い、この使い込み事件の経緯と言い何とも単細胞な計算機屋さんですよね。そうです。幾ら計算器が正しくても計算通り行かぬ処が世の中と謂うものです。(^^)
先週の3つの事件で計600億円超の金額が報道されましたが、余りに桁が大きすぎて我々の実生活と懸け離れ実感が湧きませんね。我々には2700万円とか2000万円とか書かれると万札の束を想像して"わあ大金やなあ"と感じますが、きっとその方が正常な精神状態の持ち主なのでしょう。
金額の桁数が増えることで感覚が麻痺してお金と思わなくなるのではないでしょうか。
それにしても誤注文で会社に300億円以上の損害を与えることになった当の証券マンはどうしているのでしょうね。償いようもない余りの額の大きさに開き直ってケロリとしていたりして…(;;)
耐震データ偽造事件の主役はどうやら黒幕と見られていた総合経営研究所の内河社長本人だった筋書きが読めてきました。彼は国会参考人喚問で私はコンサルタントだから構造計算のことまでは分からないと答弁しながら、その実、中小ゼネコン向けの会報の中で計算式を基に鉄筋量を減らすことを詳細に記載しており、社長自身が構造設計に深く関わっていたことが発覚しましたから途轍もなく悪い奴ですね。14日の証人喚問の推移が興味深く待たれます。案外姉歯さんなど裏リベートを取られたりして半分加害者でも半分は被害者だったのかも知れませんね。
終には建築事業者に鹿島や大林組まで登場してきましたから愈々事件は佳境に入ってきました。今後の展開に胸をわくわくさせて待っています。(^^)
女子ゴルフは冬休みに入っていますが、アメリカでの最終予選会でダントツのトップ合格した宮里選手にはニューヨークタイムズ紙まで"衝撃的な第一歩をしるした"と最大級の賛辞を以って小さくてもよく飛ばす彼女の強さを称えました。その褒め言葉のバックグラウンドには彼女がシャイなため無表情を装うか、只にやにや(本人は微笑んでいるつもり…)しているだけで真意が汲み取れず可愛げのないそこらの日本人とは全く異なり、米人記者に対してもよく喋り(勿論英語で)よく笑う明るい少女であったことが彼等には日本人へのイメージを変えることになり、とても印象深かったのでしょう。(^^)
それに引き換え同じくプロ合格した諸見里選手は英語がまるで喋れず、高校ではゴルフ漬けで英単語も覚束なかったでしょうからプロ合格後の研修をどうしてクリアしたのでしょうね。英語に平仮名の訳を付けて貰ってたりして…(^^)
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