NTTは今も電電公社だ!


秋も愈々深まり夜更けの寒さは思いの外であり、庭の昆虫たちも残り少ない命を懸命に生きている。一昨日も何処かから「馬追」が飛んできてヒルガオの葉っぱに止まっているのを見付けた^^。ウマオイ(馬追)は、キリギリスの仲間でハヤシノウマオイ(林の馬追)、或いはハタケノウマオイ(畑の馬追)と2種類あるそうだがどちらか分からない。「スイッチョ」と鳴くから我々は子供の頃からスイッチョと呼んで馬追の名を知らなかったが小学校唱歌に「虫の声」と謂うのがあって此を聞いて馬追の名を憶えた。 ♬ あれ松虫が鳴いている…あとから馬追 追い付いてチョンチョンチョンチョンスイッチョン、秋の夜長を鳴き通す、ああ面白い虫の声 ♫ 皆様もご記憶だろう。此奴はバッタのように葉っぱを食べる害虫ではなく、虫を食べてくれる益虫だ、葉っぱなら白菜からレタスの葉まで食い荒らす三角バッタなどを特に好物として食べるから畑にウマオイが居ても殺さないで欲しい。名前の語源を調べると鳴き声が、昔馬子が馬を追う時の声に似ているから「馬追」と呼ばれるようになったとか…、「ドウドウ」なら兎も角「スイッチョ」なんて馬子が言ったのかなあ?とても信じられない。

画像

写真から「馬追」が天敵の鳥を恐れて懸命に葉っぱのフリをして生き存えて居る本能がお分かりだろうな。
先週明石へ仕事でJRに乗ったら舞子駅から大勢のチビッコが乗り込んできてピーチクパーチク喧しいことこの上なし^^、午後の下り普通電車とあって車内はガラガラ乗客は一車輌に数人だったが、先生に座ってはダメと言われているらしく全員立っているが、先生のように吊り革に手が届かないためあっちへよろよろ子供同士ぶつかり合って危なっかしい。先生も決められたマニュアルは差し置き、ガラガラ電車の場合は臨機応変に座らせた方が転倒事故など少なくて良いのではと思ったものだ:-)。私が座っている横の手摺りに掴まっている子供達に「君ら何年生?」と聞くと「2年生」と大声で返事が返ってくる。「ふーん、7歳か」と言うと「ううん8歳や」「僕7歳や」と口々に答えながら、私の読んでいるカードを見て「おっちゃん、それ何?」と聞くから、おじいちゃんと呼ばれなかったことにとても気をよくして「此は単語カードや、知ってるか?」と言うと全員頭を横に振る。「こっちに漢字が書いてあって裏に読み方が書いてあるんやで…」と見せて読んでやると、答を聞いて裏を見て「ほんまや」と感心している^^。漢検難読熟語のカードでもあり「此は難しい漢字やから普通の人には読めへんのや」と言うと一人の子が「先生なら読める!」と叫んだら、皆が「そやそや」と私の単語カードを取り上げて近くで吊革に掴まっていた三十路の女の先生に見せに行った、様子を窺っていたらしい先生は慌ててカードを懸命に凝視したが難しい熟語なので当然に読めない、子供が慌てて次のページを捲ったが矢張り先生の答は…だ(;;)。子供達がションボリしてカードを返しに来たので、気分を変えて「僕ら何処から来たん?」と聞くと「全員大声で「高津橋小学校」と言い「西区」と付け加えた。ハテ?高津橋なら明石駅から5キロもあるしバスにでも乗るのかな?それならバスの乗客も大変やろな…と考えて居る内に電車は明石に着いたので子供達と一緒に降りた。子供達はケロリと忘れたろうが、あの先生は忘れないで私を横目で睨んでいた。先生、プライド傷つけてゴメンね、こんなオジンに…と屈辱だったろうな^^。
先週の日経夕刊「こころの玉手箱」は現熊本県知事の蒲島郁夫氏だった。彼は白いご飯の食べられない貧乏百姓に生まれ9人兄弟の7番目として育ったそうだ。高校時代は勉強をしない落ちこぼれで卒業後自動車のセールスになったが3週間で辞め、地元の農協に勤めたが仕事に馴染めず派米農業研修生に応募して渡米したら、農家での研修は厳しくてまるで農奴のような扱いだったが研修の最後にネブラスカ大学での畜産学の学科研修が面白くてもっと勉強したいと思うようになり、24歳で再渡米してネブラスカ大学を受験したが不合格だったのだが、研修時の先生が推薦してくれて仮入学でき必死になって勉強すると成績も上がり特待生となり奨学金まで支給され、大学院に上がるとき勉強するなら一番良い学校で政治学を学びたいとハーバード大学を志望したら畜産学の指導教授の推薦で入れたそうだ。ハーバード大学では運良く最も厳しい教授に気に入られ奨学金を貰えて通常7-8年掛かる博士論文を4年足らずの短期間で仕上げることができたから凄い。日本の高校程度で落ちこぼれだった者がハーバード大学だなんて夢みたいな話だが知事にまでなった人が嘘を言ったら大変だから本当だろう。余程の天賦の才能の持主だったのだろうが、巷には自分の隠れた能力に気付かずを終わる人も結構沢山居るんだろうな、この方帰国後筑波大学や東京大学の教授まで務められたからまるで安藤忠雄だ。15年前彼が東大教授になったときは農協職員が東大教授になったと「アエラ」に発表されて世間の話題になったそうだ。人間の持つ能力は誰かが引き出してやらないと「金剛石も磨かずば…」となるが、抑(そもそも)己が金剛石かどうかも分からないのに、その秘めた能力に気付いてくれる人に巡り会えることは運命的としか言いようがない、此の知事は幸運に恵まれた方だ。熟々(つらつら)考えるに此の知事さんの潜在能力の多くは白い飯も食べられずに6人の兄姉を横目で見ながら両肘を精一杯張って9人兄弟の7番目として育ったときに培われたものに違いない。然らば8番目9番目の子供はどうなったのか興味深いが、ともあれ「蝶よ花よ」と乳母日傘で育った一人っ子などロクな人間にならないことは事実だろうな。
部品の製造が中止になったとかNTTから唐突に電話が掛かって、15年位無事平穏に使って来た事務所の電話セットを泣く泣く買い換えることになり、先週NTT西日本が取替工事に来た。NTTと謂っても来たのは多く下請けだったようだが、僅か30万円足らずの工事にバケット車2台にガードマン2名(不要だと思ったがバケット車1台にガードマン一人が決まりらしい)を含めお邪魔虫のような者も併せて11名も来たのには愕いた(゚ロ゚)。狭い事務所内を只所在なげに突っ立って我々の仕事の往還の邪魔をするばかり、お愛想に新しい電話機の使用方法など聞いても満足な答も得られず、内線の転送方法についても人によってまちまちな答が帰ってくるので仕方なく実際に電話を掛けて確かねばならぬ有様には参ってしまった:-)。真面目に仕事をしていたのは戸外で電柱に上って居た一人と室内二人だけだったから後の8人は何しに来たんやろ?
工事費を私に結構値切られた上にこんなに大勢動員してはNTTもとても儲かる訳がない。通信他社に追われ営業不振を原因とした極端な売上至上主義に走ったと見られるから採算などまるで度外視しているよう(;;)、それとも余程暇なのかな、そう言えば見積もりの時3人も来たが話をしたのは一人だけ、その内JALのように倒産するのではなかろうかと思ってしまう。民営化後30年近く経ったがNTTは未だに電電公社の体質を引き継いでいるようだ、そんなことでは最近下剋上著しい通信業界について行けずに取り残されるのではなかろうか?多分現在50万円以上含み損になって居ると思うが、昔から大切に持っているNTTの株も処分する時期が来たのかも知れないなあ(;;)。
先週の常用漢字の表外読みの答え
強大な権力を(伐った) (ほこった)でした
今週の常用漢字の表外読みの問題
彼のした行為を(聴す)

ヤゴが誕生した!

街角の彼方此方で咲いていた百日紅(さるすべり)も花を落とし本当の秋が到来したようだ。此の花の名の由来は幹の成長に伴って古い樹皮のコルクが剥がれ落ち、新しいすべすべした樹皮が表面に現れて更新していくことにより付けられたが、実際には人間にも楽に登れるからまして猿にとっては雑作もなく登れる樹木である、誰が付けたか知らないが「さるすべり」の命名は少しオーバーだった。然しネーミングのお陰で多くの人に知られるようになったからこの花はトクをしているな。

画像

お馴染みのEさんから送って頂いた菊水山から神戸港早朝何時もの光景だ。タグボートを随えて悠然と中突堤に入港して来る「ニッポン丸」(大阪商船三井船舶)の姿は傍らのメリケンパークオリエンタルホテルと一対となって異国情緒を漂わせ、将にロマン溢れる一幅の絵になって居る。こうして山上から撮影した写真を見ると神戸港も狭くポートアイランドから神戸空港への大橋まで臨んでまるで箱庭のようだな^^。
此の船を見ると「ニッポン丸島巡り瀬戸内海クルーズAコース100万円」などを楽しんでいる方が居るんだなあと羨ましく思う。外国へは行けなかった50年前新婚旅行は中突堤から関西汽船の別府航路(大阪始発)が時代の寵児だったことがあるが、見知らぬ国を訪れて草臥れるより新婚旅行など「瀬戸内海クルーズAコース」などお勧めだと思うが、今の若者向きではないのかな?そうか、今の若者は結婚しないんだったな:-)。
先月話題にさせて頂いた防火用水の隣のハイツに住んでいる小学生の少女が水槽で金魚を飼っていると言うので、うちの池で生まれた川エビも仲間に入れてやったら?と言ったら数日考えてその気になったらしく小さい手提げ水槽を抱えてやってきた^^。「この夏に生まれたエビやから小さくて金魚に食べられるかも知れぬが食べられて減ったら何時でも取りにお出で、未だ500匹以上居る筈やから…」と、梅花藻を掻き分け柄杓で水ごと海老を掬い1cm足らずの海老をざっと20匹位手提げ水槽に入れてやったら、彼女が水槽に入ったちっちゃなエビを備(つぶさ)に眺めて「あっ、ヤゴが居る!」と言った!「どこどこ?」と目を透かして見ると成る程蜘蛛のような形をした小さく薄茶色い虫がエビの中に混じって底に鎮座しており、言われてみれば紛いもなく幼い頃良く田圃で捉まえたヤゴ(トンボの幼虫)だった^^。ヤゴを見るのは60年以上も前のことだし此の少女に言われなければ恐らく水蜘蛛とでも間違えたかも知れぬ(;;)、最近そんじょそこらでヤゴが見られる訳もなくきっと昆虫図鑑でも読んで記憶して居たのだろうと此の怜悧な少女の観察力には甚く感心した。勿論ヤゴは池に返して貰ってもう一度掬ったエビを沢山持って帰って貰ったぞ^^。
確か7月15日付のブログでうちの池にトンボがやってきて卵を産んだようだと写真入りでお知らせしたことがあったが、叶わぬと思っていた私の願望がどうやら実現しそうだ^^。どうにか頑張って来夏まで生き延びて、トンボの誕生をこの目で確かめたいと思う^^。
処が何と言うことか!ネットによればヤゴは池の中では暴君であって、自分の10倍もある魚でも食べてしまうと書いてあった(;;)。「やご」とは漢字で水蠆(さそり)なんて書くから恐ろしげだ、さすればヤゴが何匹生まれたか分からぬが、先住民のメダカや川エビにとっては迷惑な話であり、特に今夏生まれたエビやメダカなどヤゴから見て格好の「おやつ」ではなかろうか:-)。川エビやメダカの子供達が、ナマズと同居させられてパニックになったお陰で元気になった鰻の稚魚のようにどうかヤゴの攻撃をかい潜って逞しく成長してくれることを祈るばかりだ。来夏トンボが巣立った後一度ビオトープを浚って見よう。
ゴミだけだったりして…(;;)
久し振りに思いも掛けぬ若い学者がノーベル賞を受賞された^^。授賞式に同席された受賞者の奥さんは中学、高校の同級生であり皮膚科医だそうだ。見たところトクに美人でもなく現在日経新聞夕刊に掲載されている連載小説「ファミレス」に出てくる小母さん達(イラストレーター峰岸達によるカラーの挿絵)の顔とそっくりなのに愕いてしまう(゚ロ゚)。此の年代のキャリアウーマンは同じ川を流されているのか誰も同じ目をしていて個性がないのが特徴だな。現在お二人共に50歳でお嬢さんが二人が居るとか…、夫妻は中学からの相惚れでの結婚であり理想形の結婚スタイルだが、人間はお互い歳を食うに従って目が肥えて目移りしてくるから、狭い社会だった少年少女時代から相思相愛の結婚など到底実現できないものと思って居たが例外ってあるもんだな、それにしても授賞式に奥様が洋装で同席しスピーチされるなど前代未聞であり、此までノーベル賞受賞者の奥様は留袖姿で出られカメラにさえ写らないように三歩下がって存在感を隠し控えめが常だったが、新人類世代となって日本女性も変わったもんだな:-)。
山中さんは学者にはあり得ないフルマラソンの経験者で学生時代はラガーであり更に柔道2段の猛者とかスポーツマンなのに愕いてしまう。IPS細胞研究者になった切っ掛けは初め国立大阪病院で整形外科の医師をしていたが、他の医者なら20分で終わる手術に2時間ほど掛かったり、点滴に失敗するなどして指導医からは、「お前は「やまなか」ではなく、「じゃまなか」や」と怒鳴られ邪魔者扱いされ、「医者に向いていない」と痛感して学者に転向されたそうだから人間仕合わせが何処に隠れて居るか分からない、この人不器用でなかったら今でも整形外科の先生をして無聊を喞(かこ)って居たに違いないから、今回の受賞を機に昔意地悪だった指導医を訪れて邪魔っけにされたことのお礼を申し上げねばなるまいな^^。
娘二人はどちらも医大生だから偉いな、両親の優れたDNAのせいであろう。この姉妹お父さんがノーベル賞では男子草食系の多い昨今、恋人を作ろうにも男に尻込みされて相手を見付けるのも一苦労だろう。少し可哀想やな(;;)。
田中法務大臣が暴力団の息子の結婚式の仲人をしていたと週刊新潮にすっぱ抜かれ進退が問われることになったが、仲人は30年前のこととか…(;;)、暴対法ができたのが20年前だからそれ以前なら政治家誰もが幾つかの古傷を持って居るに違いない。人を殺しても15年経てば時効なのに30年前のことを週刊誌に密告した奴はきっと福島県同選挙区の自民党派に違いない:-)。民主党は嫌いだがそんな姑息な遣り方をする自民党はもっと嫌いだ!
何時も韓国ブスの優勝で飽き飽きしていたら今日の女子プロゴルフは久し振りにフレッシュな可愛い二十歳の日本人が優勝した^^。なのに彼女は明日の朝刊が休刊日なので、夕刊では晴れ姿が小さくてがっかりするだろうな(;;)
先週の常用漢字の表外読みの答え
(熱)が冷めるまで姿を隠す (ほとぼり)でした。
今週の常用漢字の表外読み問題
強大な権力を(伐った)

過労自殺の若者

台風一過と謂うが先週通り過ぎた颱風は日本列島に大きな傷跡を残して行ったが、それでもその後は夜の気温が下がって其処ら此処らに秋らしい清冽な空気が漂っている^^。最近少し気掛かりなのはトンボのアキアカネが見られなくなったことだ(;;)、2-3年前までは街の中でも沢山飛び交って居て野球帽でも簡単に捕獲できたからどうしたんだろう。田圃が少なくなったことが一番大きな原因だと思われるが、農薬使用のせいも大きいのかな。此のトンボは夏から秋の風物詩だったから寂しいよな。
「女心と秋の空」とは昔謂われた言葉であり、今では「男心と…」に変ったと謂われるが、どっちもええ勝負だろう。此から秋の空は千変万化を経て冬に向かうことになり、年の瀬を迎えることになるのだが私に残された余命のことなど考えると何故か急からしく焦燥感に駆られてならない。
今朝の毎日新聞朝刊第一面五段抜き、「過労自殺の若者急増、どうか誰か助けて!」全国700店舗の外食チェーンを展開する「ワタミフードサービス」の社宅に住む独身女性(26歳)が「誰か助けて下さい」と手帳に走り書きして自殺し、労働基準局は遺族の不服申し立てを受けて4年掛けて渋々労災を認定した。月154時間もの超過残業による長時間労働による適応障害が原因だ。我々世代の人間とは心身の鍛えが違い乳母日傘の世代だから月154時間は想像を絶した生活だったのではないかと思う。外食産業は仕事がきつくて給与が廉いので定評があるから残業代を稼がないと食って行けないし、そうすると此までの脆弱な生活とのギャップに苦しむことになるが、単純に計算して就業時間は1日平均12時間となる、然し時代を遡ると昔の水呑百姓は土日の休みなく野良で早朝4時から日暮れまで14時間以上働いて居たし、私も26歳当時は朝7時から夜8時まで働きその後夜中の2時まで税理士受験勉強をしていた。だから私ども世代の人間にとって週に40時間制で154時間の残業は過労自殺の原因とは到底考え難い、他の同僚も同条件で働いて居ただろうから、辛いのなら「ワタミ」を辞める選択肢があったのではなかったか?国元で案じる親の心も知らずに我が身勝手に死を選んだ彼女の心がまるで分からない。最近堪えることを知らない軟弱な若者は彼女一人に限らないが、どうやら私が考えるに、最近の若者は誰も人との一定距離を置いてその中に踏み込ませず殻に閉じこもり、人生の確たる目標も持たずに流されて、心を支え合い励まし合って生きて行こうとする恋人や友達を持とうとしない人間関係が彼女の死を招いたのではなかろうか、昔懐かしい三世代家族などで育った子供ならお祖母さんなどに助けを求めることができたと思う。
昔の子供は数え7歳で奉公に出された朝ドラ「おしん」のように口減らしに奉公先に売られ朝の4時から深夜遅くまで田舎の母を思って大根飯すら満足に食えずに歯を食いしばって懸命に働いたではないか!世の若者よ、一日の半分を働くことで心が折れるなんてそんな軟弱なことでどうするか、人生を甘く見るでないぞ!
何かの書物に書かれて居た。「働く」とは「人が動く」と書くが、真の意味は「傍(はた)が楽をする」ことだそうだ。傍(はた)は家族のことなんだろうか、職場の同僚のことなんだろうか、故事付けかも知れないけれど働くことが自分のためでなく他人(ひと)のためと謂う処がいいと思った。この過労死?した女性は自分のためにしか働かなかったに違いない。この女性には悪いが、究極自分の持つ哲学と親の教育が誤っていたのだと思うしかなかろうな:-)。
又何時もの漢字の話で恐縮だが、我々の姓名の名前の方は戦後人名漢字なるものができてから親が好き勝手に付けられないようになったが、姓の方は古来先祖から決まったものを受け継いできたため実は世の中には存在しない字を使った姓や異体字の姓が少なからずあったのだ。此について法務省はJIS漢字のこともあって悩んだ挙げ句が結婚などで分籍(新たに戸籍を作る)する際に、職権で姓の異体字などを正しい漢字に訂正させることでその内変な字を根絶させる作戦に出たそうだが、厭だと頑張られて裁判になるケースもあるとか…(;;)。
こんな話になった切っ掛けはうちのお得意先であるTさんの姓の一部が「瀧」の異体字であって、旁(つくり)の下部にある「三」が「テ」になって居たことを平成7年先代が亡くなられての相続税申告時に戦前からの縦書き戸籍謄本や除籍謄本を見て憶えて居た。この字が「瀧」の異体字であることが記された漢字辞典があったので、先日Tさんにその後どうなったかと訊ねると彼が10数年前結婚届け出の折に市役所から新戸籍の苗字の一部を「瀧」に変えますよと強制されたので已むなく承知されたそうだ。「ふーん、そうなんや」とそうこうしている内に先週の毎日新聞夕刊に芥川龍之介の真筆が登載された。

編集者に提出する直前の生々しいもので乱雑な原稿だが自分の姓名だけはちゃんと書かれている。写真に見られるように「龍」の旁の中の「三」が「テ」になって居り、さんずいを除けばお得意先のTさんの姓の旧戸籍の一部と全く同じ字だ。芥川龍之介は一高を推薦で入り東京大学文学部を優秀な成績で卒業した碩学だからよもや自分の名前を間違える道理がない、きっと明治の中期には「龍」も「瀧」も旁は「テ」が正字であったのではないかと考えた。そしてその後の漢字学者が勝手に「三」を正字に決めたのではないだろうか。漢字を学ぶものとしては「三」では「二」に紛らわしくて誤り易いから「テ」の方が憶えやすいから漢字学者を怨めしく思う。「龍」も「瀧」も一級の配当漢字だが漢検のテストに「あくたがわりゅうのすけ」の書き取りが出題されて「龍」の旁を「テ」と書いたらきっと×になるんだろうな。私のパソコンのワープロソフトでは如何に変換しても「テ」の龍が見付からぬのが無念でならぬ:-)。
先週の常用漢字の表外読みの答え
彼はイヤだと(頭)を振った。 (かぶり)でした。
今週の常用漢字の表外読み問題
(熱)が冷めるまで姿を隠す

ざんきの念に堪えない

「セプテンバーソング」を幾らも聴かぬ間に9月が駆け足で通り過ぎようとしている(;;)。
この歌は「5月から12月までの時間は長いが、9月の声を聞くと残された日々は少なくなる、だから貴重な日々を大切に過ごしたい」と謂う人生の黄昏を擬(なぞら)えた曲であり、映画「旅愁」の主題歌だがマント・バーニーがお薦めだ。76歳と既にオマケの人生を過ごしている私に相応しい曲だな。
うちの土手の上に築30年もの賃貸用ボロハイツがあり、傍に火事に備えて家庭用風呂の三倍位の大きな防火用水があって、ハイツの屋根にある樋の水が全て其処に集約して堪るように作ってある。平成18年に帰天したが、火事の備えばかりでなく周囲に散在する植木や草花などの水遣りに水道を使わずに済み、節倹を座右の銘とし、出すのは舌でも厭と謂う明治人間の見本であった親父のしそうなことだった^^。
借家など不動産については家賃滞納のトラブルが多いことや店子が出居時に家賃の1年分を超す修復費が掛かることを仕事柄承知しているため私は決して乗り気ではなかったが他にボロハイツなど貰ってくれる姉弟も居らず自宅と地続きでもあるため仕方なく私が少なくない相続税を払って相続したが、震災の後遺症も少なくなく毎月彼方此方が不具合でリフォーム屋に修繕の手配に明け暮れ赤字続きに大弱りだが壊すにも入居者が住んでいる内は叶わず四面楚歌を託って居る(;;)。今日の話題はこの防火用水なのだが夏場になると蚊が発生するのに気付きボーフラ退治に春に金魚を放して居た。大きさと水の嵩からして万一幼児が嵌まると助からぬので蓋をしていたが、其れでは日光も空気も通り難く金魚が直ぐに死んでしまうため蓋の周囲を少し宛開閉できるようにして空気と風が通るようにしたら、金魚が死なぬようになった^^、処が生き物を飼えば偶には餌も遣らねばならぬ、仕方なく数日に一回ゼーゼー言いながら急な45度の階段を30段余り餌やりに上って居たが、先日餌を与えに行くと黒くて細い魚が飛び出してきて金魚が食べようとする餌を素早く引ったくって居るではないか!アレッと目を凝らしてみるとそれは紛れもなく「オイカワ」だった^^。「オイカワ」なんて人の苗字のようだ、語源は分からぬが正式な名称であり鯉科の魚で川の瀬に居て俗に「はえ」と呼ばれ、関東では「やまべ」と呼ばれる。宇治川では日本記録(22センチ)を目指して寒中に多くの釣り人が出る人気者の川魚だ。川釣りをしない人には水槽で見ても魚の名前は識別できないだろうが30年間川釣りをしてきた小生には水の表面からでも体型と泳ぎ方で「オイカワ」がしっかりと判別できる。小さくても戸口がある庭の中の防火用水に一体誰が「オイカワ」を放したのか不可解でならぬが、川の瀬を住処とする魚だから敏捷で捉まえることは不可能であって、住ませて置くしかなさそうであり、10cm近いのが1匹と5cm位のが3匹居るようだ。川魚なので風通しの悪い防火用水では酸素の溶存度が心配で雨と風を期待するしかないが、それも「オイカワ」の天命だろうかとゼーゼー言いながら毎朝餌の「冷凍赤虫」を運ぶのを日課として居る(;;)。

画像

日本の川魚は熱帯魚と違って地味で鑑賞に値するものではないと誰もが思っているが、「オイカワ」の雄は初夏になると雌を誘うために彩る婚姻色は見られる如く石垣島の熱帯魚も顔負けだ(゚ロ゚)。普段は鰯のような普通の魚だから、近藤真彦じゃないが「ぎんぎらぎんにさり気なく」とでも言ったらいいのか不思議な川魚だ^^。昨夜は台風接近とかで久し振りに旱天の慈雨であり樋からの水で「オイカワ」達は酸素が潤沢となったせいか今朝は何時もより敏捷で金魚は殆ど赤虫の朝食にありつけなかったようだ(;;)。
財テク失敗を理由に粉飾決算で逮捕された元オリンパス社長ら三名の初公判が先週行われた。彼等は裁判長に対し「ざんきの念に堪えない」と原稿を読み上げたが、「慙愧(ざんき)」が常用漢字でないため新聞では平仮名で書かれていた(;;)。仮名では学生が読んでも何のことか理解できないだろう。どうして漢字を用いてルビを付さないのか明らかに新聞社の怠慢だと思う。読者を啓蒙するのも新聞社の仕事ではないのか:-)。この字は「慙」も「愧」も「恥じる」と言う意味であり訓読みではどちらも「はじる」と読む。漢字なら読者も国語辞典と漢字辞典で意味が分かるが平仮名では学生も国語辞典すら開く気力が出ないだろう(;;)。
漢字に辛辣だったコラムニストの山本夏彦翁は大正の後半小学生の頃、家にあった明治時代の新聞を片端から読んでどんな漢字も読めて書けるようになったそうだ。その訳は明治時代の新聞には常用漢字の制限などなく全ての漢字にルビが振ってあったからカナさえ読めれば「罵詈讒謗」でも「魑魅魍魎」でも当たり前に小学生にでも書けたのだ。今の高校生は「薔薇」だって書ける奴は少ない。運良く書けた奴でも良く見ると殆どが山の下にある「一」を忘れて居る、此は常用漢字の「微」や「徴」が昔旧字体の頃、山の下に一が付いていたのが省かれた名残なのだが、此の一を忘れたために薔薇が書けなくなっているのだ(;;)。マスメディアが文部省の顔色を見て余程のことがないと常用漢字以外を使おうとしないのは良くないと思う。今更漢籍を学べと言っている訳ではないが、6万字ある漢字の1割位は読み書きできないと其れこそ日本人として「慙愧に堪えない」のではないか?因みに「はじる」と言う漢字は「慙愧」以外にも「忸怩(じくじ)」は両字共訓読みは「はじる」だし「羞」も「恥」もはじるだが、こんなに沢山「はじる」字があるのに日本人は「恥」しか書けないなんて恥ずかしいなあ。

画像

片やクール.ビズ、片や正装では此の写真を見て野田総理を知らぬ外国の方などネクタイの有無から左の貧相な男が総理だと思ってしまうよな(;;)。此は我等日本税理士会の機関誌9月号の第一面であり、お盆過ぎに税理士会の会長が何やら建議書を読んで貰うために総理を表敬訪問した際の写真だ。クール.ビズが一般に定着したと謂っても此は日常業務に限ってのことであり、苟(いやしく)も陳情目的で我が国の総理を訪問する際の服装としては余りにも礼を失したと言えるのではなかろうか?此の写真を見た会員から「一体から何様だ!」と抗議の声が上がるのではないかな。
官邸の秘書官からその辺の非礼について一言あったのではないかと考えたが、日本税理士会が毎年我々の会費から無断で10億円を各国会議員に寄附していることは周知の事実であり、非礼を責めて寄附金を昔のように自民党に厚くされては敵わぬので黙って赦したのではないかと思ったが、それにしても此の会長は無知蒙昧の上非常識な男やな。よしや、先方からクール.ビズを要望されても慇懃に断り正装して行くのが身分上下の理であり、人の倫と謂うものだろうが…:-)。一般紙にでも掲載されれば如何に人気にない野田総理であっても世間の顰蹙を買って抗議が殺到し、池田会長は無念にも辞任の已むなきに至ったであろうから、業界紙で幸いだったな^^。
レスリング吉田選手13連覇はお目出度い。でも片足を段に掛けて大股開きのガッツポーズはあれで女か?日本人として慙愧に堪えぬ:-)。
先週の常用漢字の表外読みの答え
備に)辛酸を嘗める、(つぶさに)でした
今週の常用漢字の表外読みの問題
彼はイヤだと(頭)を振った

孔孟の子孫は死に絶えたか

お彼岸が到来し、此から少し宛夜が長くなるので目の良くない小生は憂鬱だ(;;)。庭では恒例の如く今年も律儀に彼岸花が15日に鉛筆のような芽を出し軈て昨日咲き始めたから不思議でならない。最近の高気温を考えるとこの花は温度でなく日没や夜明けの曙光を土の中から察して開花期を悟っているのではなかろうか。
先週庭に何処からか大きな精霊飛蝗(しょうりょうばった)が飛んで来ているのに気付いた、小さい三角バッタはキリギリスの餌に余るほど庭に棲息するが此の大きいバッタは久しく見たことがなかった。トンボと違ってバッタの飛翔距離はそれ程遠くないと思われるので一体何処から飛来したものだろうか、トンボが水辺に気付くように遠くに居てもバッタにも草原の匂いが分かるのかな?うちの雑草だらけの庭も精霊飛蝗に「草原」だと認めて貰えて嬉しいな^^。

画像
画像

今年うちの庭で誕生した赤ちゃんトカゲだ。良くご覧になると手の指が4本で足が5本なのに気付かれただろうか。なに、こいつだけでなくトカゲの前足は蛙など両棲類と同じく前足は4本と決まっている。バッタはうちの美人職員に持って貰って写したが、トカゲは気味が悪くてどうしても厭だ!と宣うので皺だらけでの私の手でゴメンm(_ _)m。
先日或るラジオ番組にリスナーから投書があって「学校給食で児童に『頂きます』と言わせるのはおかしい、給食費を払っているのにどうして食べさせて貰って居るように『頂きます』と言わされるのか、うちの子には言わさないで…」此の投書を聞かされたリスナー全員が此の母親の非常識に呆れてブーイングと思いきや、少なくない人達から賛意が上がったそうだ:-)。それなら給食費を滞納している児童だけが「頂きます」と言わねばならぬのか、何処か世の中狂ってきたようだ、只でご飯が食べられるときに食事を振る舞ってくれた相手に「ご馳走様」とか「頂きます」とお礼を言うものだと誤解をして奴が世の中沢山居るんだ:-)、そう謂えば最近食堂などで「頂きます」と手を合わせてからご飯を食べる人を随分見なくなったが、暖衣飽食に慣れ、ひもじい思いをせずに食事ができることが神の恵みであり何よりの仕合わせであることに気付かない愚かな日本人がどんどん増えてきたことは恐ろしいと思う。
私達の世代は学校給食を経験したことがない、戦時中も戦後も私の小中学校時代は国だけではなく皆が貧しかったから、弁当を持ってこない者も少なくなく、そんな子は誰も昼食時間には校庭で鉄棒や肋木などで時間を潰して居たものだ(;;)。動くと腹が減るので木陰で寐ていた奴も居たぞ。弁当を持ってきている者だって米より麦の方がずっと多い弁当だったし、弁当箱の中身はなんば粉(高粱)の団子や蒸したイモが一個などざらだった(;;)。このように食べ物の有り難さを身に沁みて憶えて居る我々は零した飯粒を拾って食べないと目が潰れると教わって育ったから食堂で食事を半分残して立ち去る若者の多いことに仰天するが、彼等は茶椀の飯を一粒も残さずに食べることをいじましく恥ずかしいことだと勘違いして居るのではなかろうか、世も末だな:-)。現在我が国の借金は1000兆円近くになり一家族当たりの借金総額が1764万円にも相当するが、此の借金の重みに耐えられる家庭は果たして何割あるだろうか、その内食べる物がなくなって慌てても、もう手遅れだぞ!
尖閣諸島国有化を火種としてチャンコロ共の格好の標的となり理不尽にも中国在住の日本人や日本人の店舗が襲われデモ隊には中国政府が内緒で後押ししているようだ:-)。持主の栗原氏も今になって国に売り渡すことを短慮であったと悔やんで居るに違いないが全ては自らが蒔いた種だ。石原都知事も寄附金処理への懸念は別として内心尖閣諸島を買わなかったことにホットしているのではないだろうか?
我々日本人は余り気付かないが彼等中国人には過去100年間そしてそれ以前からも我々日本人に対する劣等感がDNAに植え付けられ中国が経済大国になった今でも其れが少しも払拭されることなく寧ろ増幅されているのではないかと思う、きっと劣等感の塊なんだろうな:-)。彼等が如何に無法で不作法な人種なのかは彼等が日本人に対し知性と教養では及びもつかず、先ず理屈では勝てないから暴力に訴えて居るのだろう。今を去る150年前1860年に木村摂津守以下日本人96人が37日掛かって咸臨丸で日本人として初めてサンフランシスコに到着した際、彼等が現地の人々との間に全くトラブルを起こさず、礼儀正しい所作に終始したので、顔は支那人と同じだが日本人は目の輝きと知性がまるで違うとアメリカ人が驚嘆したのは有名な話だ。野蛮人だと思われた人々が予想に反して、礼儀正しさを賞讃され畏敬の目で見られたのは不思議でも何でもなく彼等が幼い頃から身に付けた孔孟の教える四書五経に従って行動したことに拠る。其れを思うと現在のチャンコロが孔子や孟子の子孫などとは到底思えない、孔子、孟子共に紀元前300年から500年戦国時代であった頃の支那の儒学者だが、ひょっとしたら彼等の子孫はその後邪悪な西戎東夷に攻め滅ぼされて死に絶えたのではなかろうか?今の中国人はその西戎東夷の子孫にとって変わられているのではないかと思ってしまう(;;)。
現在中国には此の国の発展に協力しようと多くの日本人が懸命に働いて居るが、今回の事件で「身を危険に曝すから日本語は余り使わない方が良い」と周囲から言われるそうだ。何て奴等なんだ!
「守るべきものは守る」と言うスタンスを見せなければ本当に日本は沈没するのではないか」と危惧を語ったのは先日兵庫県議和田有一朗らと共に「魚釣島」に上陸した東京都都会議員鈴木章浩であったが、上陸して驚愕したことは先人が尖閣を実効支配していた歴史的な証拠が散逸して行こうとしていることだったそうだ。日本の領土である限り番人が居て島は管理されるべきであって現在のように山羊が数百頭も蕃殖し植物を食い荒らしている実情に対し政府は一体からどう考えているのだろうか。恐らく何も考えずに中国との摩擦がこれ以上大きくならぬように蚊帳の中でうち震えているだけなのだろう:-)。
昨年悪辣極まりない中国漁船の漁師やくざ共が尖閣を襲って悪辣極まりなく已むなく逮捕されたが、日本政府は彼等の鬼畜の如き振る舞いの詳細をビデオに撮りながら中国政府を刺激することを恐れて世界に発信せず逮捕した船長までも直ぐに釈放してしまったが、飛行機なんか乗ったことがない漁師に其れもビジネスクラスでの送還とか…:-)。きっと第二第三の中国漁船が現れるに違いない。連中の悪事は全てリアルタイムに世界に発信して日本の正当性を証明しないとその内日本は悪者にされてしまうのではなかろうか。野田政権も尖閣購入の話が斯くも大事(おおごと)になるとは思っていなかったのではないかな:-)。買うのはヤメだと言いだし兼ねないぞ:-)。
アメリカ政府は1972年沖縄を返還するに際し尖閣諸島をも含めて我が国に返還したのだがその問題を我々はどう考えたら良いのか?日本は中国に対し「アメリカから返還されたものだから文句があるならアメリカに言え!」と言えんのかなあ。処でアメリカは尖閣諸島のことをどう呼んで居るのだろうか?魚釣島か釣魚島か読み方でどっちの味方か分かるよな?
先週の常用漢字の表外読みの答え
新聞紙で野菜を(包む)、(くるむ)でした
今週の常用漢字の表外読みの問題
(備に)辛酸を嘗める

夏目漱石と寺小屋

9月も半ばを迎えて、夜になると虫の声が喧しく、暑い暑いと言い乍らも秋が来たことを実感して居る。明日は本年5回目の振替休日だが1回目は1月2日だから実質的には4回目だ、未だ2回も残っている。こんなに沢山連休を作って貰っても不景気で給与も上がらず遊びに遠出する人達も多くないだろうから、仕事の疲れを取りたいサラリーマンにとって休日は水曜日位を振替休日にして貰った方が身体には優しくて良いのではなかろうか。
カレンダーには昨日15日は老人の日、明日17日は敬老の日となって居るが、老人の日ってなんだろ?街で買い物をしても何も負けて呉れなかったし:-)。
先日、漱石の「行人」(若いときから数回目だ)を読んで居たら、玄妙にして巧みな当て字にお目に掛かりウーンと唸ってしまった。彼の当て字は夙(つと)に有名であり、今や常用漢字の表外読みに多く用いられ辞典にも掲げられて居るから、誰もが漱石発とは知らずに平気で使っているが、今回「行人」でお目に掛かったのは「こそこそする」だった。ナント!「狐鼠狐鼠する」と書いてあったのだ!「こっそり」から来た言葉だから少し違う感じもしたが、「狐鼠狐鼠」とは言い得て妙であり、隠れて良くないことをするのだからイメージもピッタリで昔は本当にこんな字があったのではないかと疑った、然し広辞苑にも新潮国語辞典にも明鏡国語辞典にも平仮名しか書いてなく、矢張り漱石流の当て字なんだなあと思ったが念のため今春手に入れたけれど私には文字が小さすぎて読めないので孫に遣った大槻文彦著「大言林」を見て貰ったらこの辞書にはちゃんと「狐鼠狐鼠する」と書いてあったそうだ^^。漱石はきっと「大言林」を見て書かれたのであろう。狐と鼠に罪はないが昔の人は上手く当てたものだと数日の間感服頻りであった^^。
最近は漱石を読み返すことが多い、先週も就寝前に「三四郎」を読んで居たら、今度は寺子屋のことを寺小屋(新潮文庫232頁)と書いてあった。漱石は稀代の文豪で教科書にまで載せられ、顔写真が千円札にまで使われて、国語の神様とまで思われて居るが此の誤りには甚く愕いた。まさか新潮社が原稿を読み間違ったとは到底思えない「弘法も筆の誤り」で国語の神様もついうっかりペンが滑ったものと思われるが、此ばかりは漱石の造語だと承服する訳には行かないぞ。この言葉は寺子が主語であって寺ではない、従って「寺に集う子供達が学ぶ処」を「寺子屋」と呼ぶので、断じて寺小屋ではないことがお分かりだろう。漢字検定4級辺りの「誤字訂正」に良く出てくるから私も憶えて居たが、でなければその儘読み過ごしてしまっても誰も気付かなったのかも…(;;)、漱石も人の子だったな^^。
尖閣諸島が中国に侵略されようとしたとき中国を刺激することを恐れて民主党政府が袖手傍観見て見ぬ振りをしようとしたことに対し、石原都知事がことを愁いて所有者の承諾を得て東京都で買うと表明した。処が都知事に賛同した国民からの寄附金が14億円まで届いた今になって所有者が売買代金を当初約束の15億円から20億円に値を吊り上げ先日政府に売り渡すことに決めたそうだ:-)。政府が政府なら金で面(つら)を張られて都知事との約束を反故にした持主も持主だな、持主の栗原氏は私と同世代の人間だと思うが戦争に負けてチャンコロに大きな顔された屈辱を忘れたのか!態度を変えた理由は「寄附金に抵抗があり、心苦しかった」そうだが、ものには言いようがあるもんだな、野田政権の使う税金だって国民の寄附みたいなものであり寄附よりもっとタチの悪いものだろが…:-)。国もそんなに金が余っているなら福祉予算にでも使ったらどうなんだ!
苦境に立った石原都知事は此までの寄附金を国に渡すと発言したのを撤回したそうだが、一体から14億円をどう処理するつもりだろう。抑(そもそも)寄附金は石原都知事の侠気に対して国民が同意したものだから、東京都が買わぬとなると寄附金は宙に浮いてしまう。私は14億円を募金者に返却されるべきだと思うが、寄附金控除の証明書を依頼すべく住所氏名を明記して振込通知書を都に送った方以外は相手先不明で返還を受けられなくなる(;;)。東京都在住の方なら都のために有効に使って貰えば…と懐の深さが示せるだろうが、他府県の方は尖閣購入資金に使用されないと詐欺みたいになるぞ!

画像

私は尖閣を断じて野田政権の手に渡したくなかったから、石原都知事を信頼し侘びしい懐を遣り繰りし寄附したものだが誰が一体どうしてくれるのか:-)。
先日の夕刊で面白い記事にお目に掛かった。「憂楽帳」と名付けられ記者さん輪番でのエッセイだったが、記者である筆者が関西から東海地方に転勤になるとき幼稚園から小学生になる娘に「向こうではお友達の話す言葉が違うからね」と話したら、「あっちでは『なんでやねん』をどない言うのん?」と聞かれ返答に窮し、「あっちでは『なんでやねん』に当たる言葉はないんや」と教えたが納得行かぬ様子だった。と書かれていたので、『なんでやねん』はあっちでは「どうして」とか「どうしてなの」でよいのではないのかと私は疑問に思ったが、後を読んでみるとこの少女が言いたかった『なんでやねん』は単なる疑問詞ではなく関西地方で日常使う「つっこみ」であり、相手に返事を求めず双方がワハハ^^と笑って終了する会話の終着駅だったのだ^^、其れを察した上でのお父さんの返答だったのだが、トンマな私は全くその雰囲気が全く読めずに気付かなかったのは恥ずかしい(;;)。諧謔とでも謂うのかユーモアなのかこの言葉は関西独特の所産であって、転居先の東海地方では誰もボケやつっこみなど全く使って居らず、此の少女は大阪とは別世界で戸惑い息が詰まった生活ではなかったかと思ったものだ(;;)。
関西弁と謂えば乱暴だが何処かフンワカした河内弁が興味深い^^、私は若いとき親に勘当されて八尾に住んで居たことがあり、此処の河内言葉は得も言えぬ可笑しさがあり、会話の語尾に「あほんだら」とか「ボケ」が付いて喧嘩腰のようだが良く聞いてみると温かい心が通っていて、仕事などで上京する度に何時も怒られているよう冷たくに感じる「ご機嫌よう」とか「…して呉れ給え」と他人行儀な東京言葉と実に対照的だった。大映映画の「悪名」(古い話でゴメン)で浅吉の子分である清次こと田宮二郎(此の映画でスターになった)の河内弁の威勢の良い諧謔で思い出されたと思うが、我々関西人には慣れっこになって居る会話での言葉の遊びを他の地方の人はどんな風に受け止めて居られるのか考えれば興味深い、田辺聖子さんは「あほんだら」や「ボケ」は決して相手をアホと思って言って居るのではなく単なる会話の終了時のオマケ言葉だ、といちいち著書に注釈を付けて居られるが、成程、知らぬ他所の人が聞けば「どうしてこの人は相手にこんなに面罵されねばならぬのか」と訝しがられるよな。相手との距離をなくし親愛の情を示す反語なのだと知るのに時間が掛かる。
関西弁は好きな男に対する女性の言葉にも関西独特の色気と情緒があり、標準語で「私を捨てないでね」は命令口調で男の反感を買うが、関西弁で「うちを放(ほか)さんとってな」は男が聞いたら可愛くて抱きしめたくなる殺し文句だ^^。男の言葉にしても「君を愛している、結婚して下さい」などよそよそしい言葉より「めちゃ好きやねん、一緒になろ?」の方がずっと相手の心の琴線を激しく掻き立てる言葉ではなかろうか。何故か知らぬが狭い日本でも関西だけが異次元の文化を共有して存在し、言葉のアクセントにしても岡山県と愛知県の間にある六府県だけ異なっているのは不思議でならない。大古は関西地方だけ一つの島だったのが地震か何かで引っ付いたのではなかろうかと思ってしまう。何故なら他所の人にはどうしてもマネのできないのが関西弁であり、どんな上手い俳優でも関西出身でないと必ずアクセントにボロが出るから可笑しいよな^^。「憂楽帳」に導かれ、柔らかくて温かい関西弁の中で育ったことをつくづく仕合わせやと思ったものだ^^。実を言えば、毎日傍に居て五月蠅くしている婆さんは「めちゃ好きやねん、一緒になろ?」此の一言で50数年前コロリとその気にさせた^^。そのとき勿論彼女は「うちを放(ほか)さんとってな」と言ったものだ(^^)。そのとき何気なく「うん」と言ったお陰で今では放したくてもしがみついて離れない…(;;)。
先週の常用漢字の表外読みの答え
彼奴は(敏捷い)奴だ。(はしかい)でした
今週の常用漢字の表外読みの問題
新聞紙で野菜を(包む)
(つつむ)は常用漢字の読みです。

福知山線脱線事故元運転手の証言


日本中で一番社説らしくない社説が日経に掲載されたご縁で一ヶ月間の無料購読期間を経て今月より僻地からの全国紙「みやざき中央新聞」を購読することになったが、此の新聞社から送られてきた口座振替を慫慂する購読申込書の入れてあった封書が実にユニークであり、その封書を再度投函に利用できるように上手く工夫されていたのにほとほと感心した^^。

画像

つまり到着した封筒の左側に第二信受取人や送信者を書く欄があり、宛先などを書いて第一信受取人欄を×印で消して切手を貼ることで再利用できる仕組みだった。裏面の糊付け部分はセロテープが若干短かめに張ってあり、そっと剥がせるよう端に可愛いアニメのシールまで付いていたのだ^^。私はそそっかしいので何も見ずに左端(私は左ギッチョなのだ(;;))を切り落としてしまったので返信用に使えなくなり残念だったが、変わったアイデアだなととても愕いた。此の差出人は印刷されているようにみやざき中央新聞だが懐の深さを示す親切で大らかな新聞社だ。私だったらきっと第2信受取人の欄をみやざき中央新聞と印刷していただろう。自分はセコイ性分だから自分の出した封筒を他人宛に利用されたくないもんな^^。
7年前107名の尊い命を奪い600人近くの怪我人を出した福知山線脱線事故の裁判が歴代三社長について未だ延々と行われているが、先週の証人尋問では福知山線を走った経験のある元運転手が重大な証言をした。JR西日本は嘗て初代社長井手正敬の圧政に巷から「井手商店」と揶揄され同族会社のように扱われて居たのは周知の事実だ。「一将功なりて万骨枯る」と謂う言葉があり、一人の将軍の功名の陰に戦場に散った多くの命があることを意味するがJR西日本は将に此の言葉通りの会社であり、井手正敬ら官僚上がりのエリート達が目先の利益だけを目指して「JR東海」に追い付け追い越せを合言葉に苛酷な勤務体系を敷き、まるで余裕のない過密ダイヤの中で従業員達は翻弄されていたのだ。福知山線の快速電車が尼崎に停車する上り新快速の発車時間に是が非でも間に合わせようとしたのは、競合する阪急電車に大阪までの朝の通勤時間で優位に立つための至上命令だったのだが、机上の距離計算だけで列車ダイヤが組まれたため、駅での停車中の少しのロスタイムが事件の起こった魔のカーブを時速120kmで通過させねば新快速の発車時刻までに到着できない苛烈なものであり、「このスピードでは脱線する可能性があると思っていた」と元運転手が証言したのだった。利益優先を志す経営陣に未必の故意があったと思われても已むを得ないのではないだろうか。
昔は連絡支線の列車が遅延した場合は本線の列車は発車を送らせ、支線の列車の到着を待って出発するのを常としたものだ。此は当時列車が一日に数本しかなく、待ってやらないと乗り継ぎ客はどうかすると駅舎で一泊することになるため本線の運行を支線のダイヤに合わねばならぬ事情によるものであったが、現在のように15分に一本の新快速、更に快速に普通車と1時間に8本も走って居る時代なのだから、昔とは事情が全く異なっており、阪急を目の敵(かたき)にして無理なダイヤ遵守を強制した社長達上層部は乗客乗員の安全を無視した廉(かど)で厳しく罪に問われなければならないと思うが、証言したのが元運転手だから言えたことで現役の運転手なら後で上からの報復人事を恐れて「このスピードでは脱線する可能性があると思っていた」とは口が裂けても言わなかったろうな:-)。
学生時代のことだが広島から津山行きの芸備線に乗ったことがあったが、此の列車が津山の直ぐ手前の新見駅で岡山から来る伯備線の列車待ちをして1時間余り停車したことを思いだした。あの時は退屈の余り駅前のパチンコ屋で時間潰しをして100円の元手でピースを10個稼いだことまで思いだした^^。列車の乗り継ぎ時間待ちにパチンコができるなんて昔は長閑でよかったなあ^^。其れに比べて最近は何事も急からしくて堪らない、もう少しゆっくりと時間が過ぎて行って欲しいと思う。短い人生をそんなに急いで終えることもないと思うんだがなあ…:-)。
先日日経夕刊「明日への話題」で双日会長加瀬豊氏(前日商岩井業務執行役員)が浦和高校時代工芸の担任の増田三男先生のことを記して居られた。3年前に亡くなられた此の先生が20年前に人間国宝になって居られたことを彼は今春知り、「やさしくし生徒を指導していたあの先生が人間国宝になっていたとは…」と書かれていたが、苟(いやしく)も己が教えを請うた先生に対して「国宝になっていた」との表現は何気なく書かれたのであろうが、不用意であり己の品性を貶める恥ずかしい言葉であった:-)。双日会長が如何に偉い人かは知らぬが学校で指導を受けた生徒としては己が現在の地位は別にして「長幼の序」として常に先生に対しては「…になって居られた」と「敬語を用いるべきであったろう。こう謂う人も又「卑」と謂うのだろうな:-)。
漢字検定協会から昨年発足した漢検生涯ネットワーク会員通信 (年4回発行)が先日送られてきた。此のネットワークは準一級合格以上の者にのみ入会資格があるが、一級合格者でない準一級組の私としては甚だ肩身が狭く忸怩(じくじ)たる思いだ(;;)。漢検も本当は漢字エリートである一級合格者のみを会員にしたかったと思うが、対象となる人員が余りにも少ないのと、多くの受験者が大学推薦入試の対象に取り入れられる二級合格で満足して検定を終了するため、一級挑戦の可能性ある準一級合格者を取り込んだのだろう。数合せのその他大勢になど入りたくなかったが、ひょっとして将来一級に挑戦する可能性もないではないので屈辱感に苛まれ乍ら入会したものであったが、此の会報を読んでおっ魂消た。「一級成績優秀者に聞く」と題したアンケートがあり、一級の合格回数がナント!40回を超えている方が一人あり、30回以上も4名も居た(゚ロ゚)。又一級を満点(200点)で合格した人まで居たから受験してもせいぜい100点(50%)採れるのがやっとだと思われる私など死にたくなってしまった(;;)。漢検の発表では一級受験者は全体の0.2%(1000人に2人)しかなく、然もその合格率は10%程度であり、更にその合格者の大部分がリピーターだそうだ!将に漢字の神様が居るのかと見紛うばかりであり、私などと異次元の世界の住民だと思ったものだ。でも私など未熟者の会員に配慮したものか一人だけ対照的な努力コツコツ型合格者の手記が載せられて居り、この方は女性で一級受験挑戦後18年掛かって合格されたそうだ^^。合格したときには齢(よわい)50代になって居られたとか…、偉いなあ。一級に合格して一番嬉しかった方は200点満点の方より、きっとこの女性だったろうな^^。
因みに漢検受験要項に参考として記された一級の仮名付けの例題を列挙します。皆様はお分かりですか?
1. 贅肬 2.蓖麻 .3.訐く (答は末尾です)
先週の常用漢字表外読みの答え
平家の勢いも愈々(尽れて)きた。(すがれて)でした。
(すがれて)勢いが衰えること
今週の常用漢字表外読みの問題
彼奴は(敏捷い)奴だ
一級の問題の答 1.贅肬(ぜいゆう) 2.蓖麻(ひま) .3.訐く(あばく)
            1. イボのこと   2.(蓖麻子油)の(ひま)です 3.秘密をあばく

「のらくろ」と小林秀雄

漸く9月の声を聞くこととなったが、秋の虫の声も余り聞かれず夏が終わった実感がない(;;)、2週間以上になるだろうか一昨日夜に漸く雨の音を聞いたが懐かしかった^^、然し暑くてとても「セプテンバーソング」など聞く気にもならないので仕方なくヘンリー.マンシーニの「ひまわり」など聴いて気怠い気分に浸って居る。此の曲は戦争が愛する二人を分かつこととなった悲しい映画のテーマソングで私の好きな曲であり、ハーモニカの演奏など哀愁を帯びて居てとても良いと思う。

画像


「ひまわり」の映画を見たのは40年も前だが、よく憶えて居らず先週ビデオショップからDVDを借りてきて視聴した。戦禍により死屍累々の雪原から負傷して死線を彷徨(さまよ)って居たアントニオ(マルチェロ.マストロヤンニ)を救い出し、彼との間に子供まで儲け貧しい乍らも家庭を守っているマーシャ(リュドミラ.ザベーリエフ)が写真に見られるように楚々とした美人で印象的だったな。ソフィア.ローレンが主演だが彼女はでかくて可愛くないからアントニオが自分を救ってくれた可愛いマーシャに惹かれたのは当然だったと視聴者誰もが思ったろう。此の映画は作曲がヘンリー.マンシーニでなければヒットしない駄作だったと思う(;;)。外国映画は「ある愛の詩」、「太陽がいっぱい」のように駄作が音楽によって名作に昇格しているようにテーマミュージックの可否が映画の価値を決めているが、映画の主題歌だけが単体でヒットする日本映画などでは到底考えられないことだ。それにしても映画に出たあのひまわり畑は壮大だったなあ。当時のソ連は撮影の許可が下りなくて、已むを得ずスペインでの撮影だったそうだが、飛行機ででも種蒔きするのだろうか?
又々古い話で恐縮だが40年を去ること30年と70年も前のこと、当時一世を風靡した漫画「のらくろ」を憶えて居られるだろうか。布製ハードカバーの此の本はメチャ魅力的だったが、我々貧乏人には高嶺の花であり、此の本を持っている奴は学校でも数人、裕福な家庭の子弟だけであり、ゴマすりの取り巻き達が呼ばれて見せて貰っていたが、私など疎開組は只指を咥えて僻んで居るしかなかった(;;)。この本は田河水泡と云う人が書かれたワンちゃんの漫画であり、主人公の「のらくろ」は新兵から大尉に昇進するのに11年間掛かった。次は少佐の順番だがドジで間抜けな役柄から少佐の役は重すぎるので、作者は「のらくろ」に軍隊をしくじらせて浅草辺りで「おでん屋」でも開かせようかと考えたそうだが、昭和6年のスタートだったから11年目は丁度第二次世界大戦の真っ只中だし考えた挙げ句「のらくろ」大尉を満州に渡らせ大東亜の共存共栄に資することにしたのだった。然しどっこい、此の漫画の構成上人間を出す訳にも行かず、已むなく朝鮮人や支那人に羊や豚を登場させた処、普段から「のらくろ」がドジでだらしない兵隊であることを苦々しく思っていた我が国の軍部が、千載一遇のチャンスとばかり、田河水泡を国家情報局に呼び出し「ブルジョア商業主義に諂(へつら)い国策を侮辱する者だ!」と叱責し、翌日より紙の配給が停止されて出版を禁止されたから何が仕合わせか不幸か分からない、此の儘「のらくろ」を書き続けていたら戦後田河水泡は戦犯として処罰されただろうし、「のらくろ」も敗戦の悲哀を存分に味あわせられる処であったのだ:-)。
『彼は洒落や冗談を飛ばしながら楽しそうに仕事をして居り、彼の漫画家としての才能は非凡であって「のらくろ」が書けなくなっても「蛸の八ちゃん」とか「凸凹黒兵衛」など漫画の主人公を発明し少しもへこたれた様子がなかった、』とお兄さん(義兄)は彼田河水泡のことを考えて居たそうだが、実は田河水泡にとって「のらくろ」が書けないことは致命的なことだったのだ。此の兄弟は偶さか会うと酒を飲み馬鹿話をするのが常だったが、或る日彼はしみじみ義兄にこう述懐したと言う『実は兄貴、「のらくろ」というのはありゃみんな俺のことを書いたものなんだ…』義兄はある種の感動を受けて目が覚める思いがしたそうだ。彼の生い立ちについては詳しく知らなかったが、家庭に恵まれぬ苦労の多い孤独な少年期を過ごしたことは知っていたから、言ってみれば子犬のように捨てられ誰かに拾われて育った男だったのだ。きっと「のらくろ」に動かされ「のらくろ」に親愛の情を抱いた巷の少年達は誰もそのことを直感していたのだろう、恐らく迂闊だったのは私だけだった。とは義兄の言葉だが、さすれば「フクちゃん」は横山隆一自身であり、「カッパ」は清水崑その人だった。との一文をものされた此の義兄さんこそ日本の知性と謂われ良識と謳われ文化勲章まで受けられた文芸評論家の小林秀雄だと言えば誰もが愕かれるに違いない。「のらくろ」と小林秀雄、この妙な取り合わせに疑問をお持ちの方は小林秀雄著「考えるヒント」」(文春文庫)47頁-49頁をお読み下さい。
彼は自分が迂闊だったと書かれたが、小林秀雄程の人物が決して迂闊である筈がなく、私は恐らく彼が我々鈍な衆生を思い遣って自らを迂闊だったと貶めて我々を教示啓蒙されたものだと思って居る。
因みに田河水泡の弟子には「サザエさん」の長谷川町子や「あんみつ姫」の倉金章介、「猿飛佐助」「ロンちび丸」の杉浦茂など多数だ、手塚治虫は田河水泡の「のらくろ」を模写し技術を磨いたそうだ。
田河水泡は本名を高見沢仲太郎と言い日本美術学校を卒業し文筆業を初め落語作家となった、彼の叔父に浮世絵複製の『高見沢版』で有名な高見沢遠治、夫人の高見沢潤子は前述の文芸評論家小林秀雄の妹にあたり作家で随筆家でもある。長男は東京都立大学教授の高見沢邦郎、ダークダックスのバクさんこと高見澤宏は甥にあたるそうだ。此の錚錚たる家系は「のらくろ」のイメージとまるで異なる雰囲気だが、どんな立派な家柄でも外見と内情では人それぞれなんだな、と私は思った:-)。
私の子供達が小学生の頃念願であった「のらくろ」の復刻版を手に入れたが、「てふてふ(ちょうちょ)」などの旧仮名遣いに子供達がとても戸惑っていた^^。「お菓子」は「おかし」でなく「おくわし」で「蝋」は「ろう」ではなく「らふ」だもんな^^。漫画も旧字体の「漫畫」だぞ!国民学校4年生までの国語の時間を想い出して懐かしかったなあ^^。
先週我が国IT企業最大手である日本IBMの元社長大歳卓麻最高顧問63歳が新宿JR四ツ谷駅構内で女子高生を盗撮したことが明らかになり財界に大きな衝撃が走った。彼は東大工学部出の超エリートで現在三菱UFJファイナンシャル・グループ、明治安田生命保険、花王、TOTO、カルビーの社外重役を務めて居たが此の事件が明るみに出るや経済同友会を始め最高顧問の役職まで全てを辞任した。痴漢なら知らないと開き直れても、盗撮はカメラと謂う証拠が残るためどうにも言い訳できないんだな。でも此だけ社会的地位の高い人がどうしてこのような情けない罪を犯さねばならなかったのか私には全く理解できない。私なら万一盗撮に興味があったとしても自分の家族や知人など周囲への影響を考えれば実行する勇気など全く起きない。此から傍若無人なマスメディアの横暴が始まるだろうが、家族は一体どうなるのだろう?性犯罪については全て病気だと謂われるが或いはそうかも知れないな。よく「魔が差した」と謂うが、魔が差すことは、己のせんとしている行為に対して己が矜持を守る自制心との葛藤に敗れた結果に相違ないからやはり病気なんだろうな(;;)。でも東大を出て40年間営々と築き上げてきた大きな砦と多くの人望をたかが数分の盗撮で粉微塵にするなんて、此が人の性(さが)と謂うもので心の闇なんだろう、此は病気ではなく狂気だ!人の心なんて外からはまるで分からないものだなと熟々(つくづく)思った:-)。
先週の常用漢字表外読みの答え
十干の8番目は(辛)だ。(かのと)でした 
十干とは木、火、土、金、水の五行を陽を表す兄(え)陰を表す弟(と)に分けたもの
甲(きのえ)乙(きのと)丙(ひのえ)丁(ひのと)戊(つちのえ)己(つちのと)庚(かのえ)辛(かのと)壬(みずのえ)癸(みずのと)となります。
今週の常用漢字表外読みの問題
平家の勢いも愈々(尽れて)きた。



田河水泡 のらくろ一代記/田河水泡/高見沢潤子
オンライン書店boox
著者田河水泡(著) 高見沢潤子(著)出版社日本図書センター発行年月2010年01月ISBN97842

楽天市場 by 田河水泡 のらくろ一代記/田河水泡/高見沢潤子 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


のらくろ放浪記 (コミックス) / 田河水泡/著
CD&DVD NEOWING
★書籍商品の購入に関するご注意コチラ↓より、初回盤・特典の詳細、在庫情報・出荷状況をご確認ください。

楽天市場 by のらくろ放浪記 (コミックス) / 田河水泡/著 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


のらくろ喫茶店 [カラー復刻版] (のらくろ 幸福(しあわせ)3部作)
復刊ドットコム
田河水泡

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by のらくろ喫茶店 [カラー復刻版] (のらくろ 幸福(しあわせ)3部作) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル




【中古】その他コミック のらくろ 軍曹(カラー復刻版)(3) / 田河水泡【マラソンsep12_東海北陸甲信越】【画】
駿河屋アウトレット
発売日 1969/11/15 定価 – メーカー 講談社 型番 – JAN 漫画 田河水泡  備考ケ

楽天市場 by 【中古】その他コミック のらくろ 軍曹(カラー復刻版)(3) / 田河水泡【マラソンsep12_東海北陸甲信越】【画】 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

天敵は大切にしよう


神戸でも東部は六甲山の関係で偶に夕立が降っていたようだが、西部地区のこの辺はお盆前に僅かに降っただけで先月から一月以上まるで雨がない、炎天が続くので高温でもあり庭の池の水もどんどん蒸発して毎日バケツ一杯の水を補給しないとならず、水道水では塩素が入って居るため前夜から汲み水をして日中炎天下に晒しカルキを抜いてから夕方池に放流する作業が欠かせない(;;)。水道料金の計算書を見ると今月は前年同月より5㎥も多く使っていた、基本料金以下なので実害はないが撒水の労力は大変だ。

画像

お馴染みのEさんが先日「青春18切符(鈍行で何処まで行っても一日2300円」で安芸の宮島を訪れられた際の写真です。大鳥居の背景にある聳える森林と紺碧の海が「夏だ!」と叫んでいるのが聞こえそうだな^^。琵琶湖西岸より60mに経つ大鳥居とどちらが大きいんだろうな?
オリンピックが閉幕して約2週間になる、日本の獲得したメダル数が38と史上最多であったそうだが金メダルは僅かに7個だった:-)。先日将棋の先崎学八段が「オリンピックは銀メダルや銅メダルがあるからいいな」と毎日新聞にコメントされていた。将棋や囲碁など勝負の世界では準優勝など何の値打ちもなく、優勝あるのみで一回戦で負けるのも決勝で負けるのも同じことであって決勝で破れる方の精神的ショックが大きいと書かれていた。先崎八段は自身20年前に某棋戦で優勝したことがあり、今でもその話をファンの方から良くされるそうだが同じ棋戦で10年前に準優勝したことは誰も話題にしてくれないそうだ(;;)。そりゃ、そうだろう、オリンピックはお祭りであり、銀メダル銅メダルは敗者への労りの贈り物であって内実喜ぶべきものではない。女子サッカー「なでしこ」の彼女達も間違いなく敗者であり、銀メダルなど決して喜んで貰ったのではなくメディアやサポーターの手前、已むなく作られた笑顔であったに違いないと思う。オープンバスの乗っての銀座パレード本当は慟哭張り裂ける思いを胸の内に無理矢理隠しての笑顔は辛かったろうな。日本人は人種的に身体能力に措いて白人や黒人に比して可成り劣位にあるから、其れを考慮すれば女子サッカーの銀メダルは立派だと思うが、体重別のハンディキャップがないのが不運だったな。
私ごとだが50年前神戸新聞社の主催で行われた兵庫県囲碁名人戦で二年連続神戸地区の名人になった勢いで私は県名人戦の決勝戦まで一気に勝ち上がったが最後の寄せを誤り僅差で敗れ、名人位を獲得することができず悔しかった(;;)。然し私はその悔しさを試験勉強にぶつけることができ、翌年税理士試験4科目に合格(関西地区1位)して目出度く税理士になれたから、ひょっとして県名人になって居たら、全国大会などを目指して更に棋力の向上に努力を尽くして居ただろうし、税理士試験の方はポシャっていた可能性が大であり、優勝しなかったことが私の幸運を招いたから人生なんて何が仕合わせするか分からない。「なでしこ」の皆さんも此から人生行路を歩んで行くために敗者が得たものは勝者より遙かに大きいものがあることを知るだろう。
先日宗教家のひろさちやさんが新聞に書いて居られた。この方が仏教者であるかどうかについて世間では兎角の風評があるが、ともあれこの方の話は聞いていて楽しい。楽しいところがまやかしだと言う人もあるが受け止め方は人それぞれでいいんじゃないのかな?ひろさちやさんの書かれたことは現在我が国の鰻は殆どがカナダから稚魚を空輸しているそうだが、輸送に半日以上掛かるため神経の繊細な鰻は環境の変化に耐えられず90%がストレスで死んでしまうそうだ。そんなに死んだら元も子もないから、試行錯誤の結果考えられたのが生き物の本能を利用した手段であって、天敵のナマズを鰻の稚魚の中に入れて共に輸送すると謂うハチャメチャな方法だったのだ(゚ロ゚)。一緒に輸送すると間違いなく稚魚の2割はナマズに食べられてしまうが後の8割は何故かピンピンしているそうだ^^。どうしてなら住環境の変化でしょぼくれてなど居られず、何より黄昏れているより先ず天敵から逃れることに必死となり、逃げ回っているうちに環境の変化に慣れしょぼくれて居たことまで忘れ元気になるのだそうだ^^。先週洪水に遭遇した川の魚達について触れたが、彼等も此の鰻の稚魚と同じことが言えるのではないのかな。
ひろさちやさんは若い人の味方で日本の若いお嫁さんもお姑さんをいびらない方が良いと言って居られる^^。藪から棒に話が突然明後日へ飛んで行くようだがスト-リーの本質は鰻の場合と少しも変わらない。何故なら姑はいびられればいびられる程嫁に反抗して生き甲斐を感じ何時までも不貞不貞しくピンピン長生きするが、逆に至れり尽くせりで大事にされると姑は戸惑ってすることがないため、ナマズと同居させずに空輸される鰻のように退屈でストレスが溜まり嫁への欲求不満から黄昏れてコロッと逝って呉れるんだとか…^^、昔嫁のときは長幼の序が厳しい時代であったから姑に甲斐甲斐しく尽くし、自らが姑になった今では時代が変わり、息子を尻に敷く嫁にいびられるなんて熟年世代の女性にはまるで割が合わぬ話のようだが、昔嫁に尽くされて姑が早くに他界し、自らが姑になってからは嫁にいびられて元気になり長生きできるのでは嫁の意図とは反するが先ず嫁に感謝せねばなるまいな、ま、長生きして仕合わせかどうかは又別の話だが…(;;)。
県会議員の和田有一朗が尖閣に上陸した10人に入って居たと先週月曜日歯医者さんの待合室で読んだ神戸新聞にデカデカと書かれていた。第一面3段抜きは県会議員としての宣伝効果は抜群であり、彼も船から飛び込んで泳いだ甲斐があったろうな、此で次の選挙は先ず安泰だろう^^。世間では余り知られて居ないが彼は垂水から出馬して居り、ついこの間もお盆にうちの前を「和田有一朗です、ご挨拶に参りました」とマイクの声が聞こえたから忙しい人や。この人何の仕事をしていたのか知らないが近くの霞ヶ丘の人らしい、10数年位前早朝垂水駅信号の角で「和田有一朗」の襷(たすき)掛けで通勤の人達に懸命に頭を下げていたから何れ選挙に出る人だなとは思っていたが、次の市議選挙に出てナント!1万票(4千票で当選できる)も取ってダントツのトップ当選に魂消たものだ。沢山の人が名前だけ覚えていたものだろう。人間何事も普段の種蒔きが大切だと痛感した。その後県議の補欠選挙で格上げされて現在に至って居るが、尖閣上陸とは彼も男を上げたなあ、未だ50歳前だから次は国会議員を狙っているのではなかろうか。顔が少し「卑」だが此は親のせいだから仕方ないにして拉致問題に熱心な右翼だし、垂水からの代議士なら此は応援せねばなるまいな。頑張れ、和田有一朗!
夏の高校野球も大阪桐蔭の春夏連覇で終わりを告げもうすぐ秋がやって来る。処で桐光学園の松井浩樹投手4試合で68個の三振奪取数は凄かったな^^。此の記録は今後先ず破られることがないと思われるが其れよりもっと凄いのは、彼が投げたボールに対し誰一人三塁方面へ打てなかったことだ!つまり桐光学園のサード中野速人は4試合共に守備機会が全くなく手持ち無沙汰だったのだ:-)。68奪三振という記録よりも、ある意味こっちの方が奇跡的な「記録」だったと謂えような。それなら監督も予めサードを三遊間に配し、二塁ベースにショートを、1ー2塁間セカンドを配せば光星に打たれることはなかったのではないかと考えたが、そうなると敵もサード側にバンドなどしてくるだろうし世の中上手く行かぬもんじゃのう。 
今週の常用漢字表外読みの答
(凝っと)考え込む。 (じっと)でした。
今週の常用漢字表外読みの問題
十干の8番目は(辛)だ。

洪水からの贈り物

愈々8月も終盤を迎え灼熱の太陽も少しは翳るのではないかと淡い期待を抱いて居たが待ち焦がれた雨は殆ど降らず、すっかり裏切られたようだ(;;)。先月から現在まであれ程暑かったのに何故か高圧的に呼びかけられた関電の計画停電は結局未だ一回も行われなかったが、一体からどうなったのだろう。関電から各家庭でのエアコンの使用電力の前年比マイナス割合など公表して節電の効果を説明して欲しいものだ:-)。停電で困るのはエアコンの次にトイレではなかろうか。人間の排泄欲は我慢できるものではないから、今や各家庭で常駐となったデジタル便器での慣習は誰もが停電で戸惑うのではなかったかな?

画像

先週ご紹介した紫陽花が未だ咲いている。もう咲いてから一月以上になるから、きっと自分が百日紅(さるすべり)だったと勘違いしているのと違うのかな?
洪水と謂うと忌まわしい自然の災害だと思い勝ちだが、実は魚達の棲む河川にとっては洪水が川を生き返らせる秘訣だと昔ホンダの創立者本田宗一郎さんが書いて居られた。本田さんの屋敷には瀧のある人工の渓流が作られ春先には数千匹もの鮎を放ち、それを苦労して育て上げて、知人やお客様に釣って食べて貰おうとされたもので、水を循環浄化する大掛かりな装置まで備えて居られたが、それでも野生の鮎には味がまるで及ばなかったそうだ(;;)。そしてその理由は屋敷内の人工の川では洪水が起こらないからなんだそうだ:-)。
洪水は年に数回、颱風などが原因で河川の周辺地域に大きな被害を齎(もたら)す厄介者だが、一方では川底や石などをひっくり返して溜まっていたものや石に付いていた澱(おり)を綺麗に洗い流すことで川底の淀みがなくなり川が再び生き返って新しい自然が誕生し、魚達もプランクトンも洪水で淘汰され鍛え抜かれたものだけが生き残り、更に山から駆け下り田畑を浸した水が腐葉土を多く含んだ土まで持参し、1度の洪水で3年間肥料要らずとは良く謂われた箴言(しんげん)だ。それが自然の輪廻(りんね)と謂うものだろう。如何に優れた循環濾過装置を設けても世の中を支配している自然の摂理には到底及ばないのだ:-)。
そう考えるとある時期に突然襲ってくる忌まわしい大地震や津波もある意味地球を生き返らせる理に叶ったものではなかろうか、我々は人間の側からしか見ずに「災害だ!災害だ!」と騒いで居るが、実は地球サイドで言えば此等は全て万物生きとし生けるものを淘汰し、必要なもののみを生存させようとする地球再生化への神の摂理だと考えることが正しいのではないか。我々が常に人間を中心として物事を考えて居ることは決して正しいことではなく単なるエゴなのかも知れないな。さすれば福島原発の核漏れなどはエゴの最たるものではなかったか?我々も傲り高ぶらないで「自然に生かされて居るもの」であることを謙虚に受け止め、宗教的な意味を越えて「Providence」をしっかりと実践して行かねばならないと思ったものだ。
福島原発の核漏れと謂えば、先週政府が栃木県渡良瀬川で採れる天然ヤマメの出荷停止を県に指示したとする衝撃的な新聞記事に巡り会った。ヤマメから国の基準値を超えるセシュームが検出されたことが原因だが、ヤマメは山奥の冷水域でしか棲めない魚であり、セシュームがそんな深山幽谷まで流れて行っていたとは恐ろしいことだ:-)。川と謂うものは高きより低きに流れるから、セシュームが川を上って来ることはなく、風を介したものであろう、その間に棲む住民達や農作物がセシュームの害を受けなかったとは到底考えられず政府はヤマメにのみ罪を被せてそれで済んだと思っているのだろうか?
此の渡良瀬川は奇しくも百数十年前ときの農商務相陸奥宗光が我が子を古河鉱業の古河市兵衛に養子として送り込んだ代償に総理山県有朋の意を受けて、足尾銅山を只同然で彼に払い下げ、古河鉱業が下流の村民のことを何等考慮することなく銅を採掘する坑内から出る硫酸銅を含んだ水をそのまま渡良瀬川に廃棄したため、流出する鉱毒により渡良瀬川が汚染され魚介類が死滅し、渡良瀬川の水にて生きる多くの周辺農民達数千人を殺した史実は余りにも有名だ。そして渡良瀬川周辺住民の窮状を憂いて、衆議院議員田中正造が一命を賭して「草莽の微臣田中正造誠恐誠惶頓首慎みて奏す…」と一篇の直訴状を掲げて明治天皇の鳳輦(ほうれん)に縋るも果たせなかったのは明治34年12月のことであったが、以後百有余年を経て再び渡良瀬川に悲劇が訪れたことは東京電力が古河市兵衛と同じ過ちを犯したものであり、東京電力に与した、ときの自民党政権が政商の暗躍に荷担し、あの当時の総理大臣山県有朋、農商務相陸奥宗光の愚を再び繰り返したものと謂わねばなるまいな:-)。
平成の田中正造は出ないのか!今の天皇なら直訴は受理されよう。然し直属の長を越えての直訴は佐倉の義民惣五郎の昔より本人家族眷属全員死罪の決まりだから他人(ひと)より我が身が可愛い昨今、命を賭してまで直訴しようとする憂国の志士は居ないのではないか。
韓国の李大統領が己の人気凋落を挽回せんと苦肉の策で絞り出したアイデアが先週天皇の訪韓に際しての、「陛下の謝罪発言」へのイチャモンだ:-)。竹島上陸だけではイマイチ効果が薄いと思ったのか24年前当時の盧泰愚(のてう)大統領が訪日した折、陛下が過去の歴史的事実に付いて発言された「痛恨の念」の言葉についてであり、「謝罪発言」は、我が国天皇陛下が訪韓して日本の植民地化でなくなった独立運動家達に対して謝罪するのならよいが、「痛恨の念」の単語一つなら来なくて良いとほざいたのだ:-)。
覆水盆に返らずと謂うが彼もアホなことを言ったものだ。きっと彼は下賤な育ちであって日本国民の天皇陛下への敬慕の念が理解できず、日本国内では天皇が野田総理とチョボチョボの人気だと浅墓に考えて居るに違いない。なるほど野田総理なら国民の支持率は李大統領と似たようなもの「兄(けい)足り難し弟(てい)足り難し」であろうが、野田総理の悪口を言って笑える国民も天皇を侮辱されたら黙っては居ないから、忽ち韓国製品不買運動から韓国へ観光のキャンセルまで大きな後遺症が発生するに違いなかろう。足踏みする我が国と追い掛ける韓国でも未だGDPが5倍も違うから日本にそっぽを向かれたら困るのはあんたとこじゃないの?
リンカーンは人間の顔でその人が分かると謂ったが、それにしても李大統領の顔は石田禮介の言葉を借りるまでもなく、誰から見ても「卑」だな。本人だって其れを一番苦にして居るんじゃなかろうか。
李大統領が前門の虎なら中国香港の活動家は後門の狼だ。尖閣に不法に上陸しようとした香港の連中は政府の「弱腰外交」のせいで今回も無罪放免されることになったが、彼等は英雄気取りで支援者からの花輪や中国国旗を手に「釣魚島を守れ」とシュプレヒコールを上げ帰って行ったが、こんな無法な連中を放置して居て良いのか?此ではまるで日本がコケにされているではないか!こんな奴等は石を抱かせて百敲きの上罰金100万ドル位吹っ掛けて先方から引き取りに来させれば良い、処で飯代は払わせたのか:-)。ビジネスクラスの航空料金は誰が負担したのか?
「目には目を」と苛烈な報復手段で臨まなければ、こんな生温い対応を繰り返しているとその内大挙して押し寄せられ尖閣は乗っ取られるに違いないぞ!
尖閣上陸を巡って市民の反応は「政府間でちゃんと話し合いをすべきだ」などと優等生の発言に終始しているが、竹島にしても尖閣にしても陰でこっそり糸を引いているのが政府に違いないから、陰に隠れているなら此を無視して徹底的にやっつければ良い、政府が出てくれば「あんまり柄が悪いので真逆中国人と思わなかった」と言ってやればよいのだ。
今週の常用漢字表外読みの答
指先が(潤びる)(ほとびる)でした。
潤びるとは、水気でふやけて柔らかくなることです。
今週の常用漢字表外読みの問題
(凝っと)考え込む