不肖私今日で馬齢78歳を数えるに至った。生来蒲柳の質で可愛げのないモヤシのような子どもだったが、この歳まで命存え現役で働けるとは夢にも思わなかった。戦争を挟んだ10年間に亘る粗食の賜物ではなかろうか、食べ盛りにろくなものを食べさせて呉れなかった亡き両親にちょっぴり怨みつつ心から感謝したいと思う。

先月初めのブログにて非嫡出子について最高裁の決定について触れたが、自分の子か誰の子か分からぬ時代になって居ると先日「クローズアップ現代」にて提起されたことから私はことの重大さに愕いた。既に判決となって確定しているが、父親が自分の子だと言っているのに裁判所が違うと否定した例の事件に言及する。
民法では妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子だと定められて居るから、不倫の子どもでも何でも妻の産んだ子どもは亭主の子にするのが法の定めなのに何故役所が出生届を受理せず頑な態度を取ったのか、此の事件の発端は偶々子どもの出生を受け付けた役場が父親である夫が性同一性障害者(躰と心が異性)であり、戸籍上女性から男性に転換した後結婚したことを知ってお節介にも法務省に問い合わせ、頭の堅い法務省の役人が明らかに他人から精子提供を受けて妻が子を作ったことから子どもの入籍を拒否したことに因る。役所の言い分は心は男でも肉体が男でないから妻に精子を提供できる道理がない、だから父親とは認めないだそうだが民法も嘗められたもんや、母親が産んだことに相違ないから母子家庭としてシングルマザー扱いならできても彼女には取り敢えず夫が居り、戸籍上夫ありのシングルマザー扱いは不可能だ。自分の腹を痛めた子だから戸籍上認知扱いするのも変だしそれや此やで不受理とされたのだろう。結局戸籍上その子がどう扱われたのかとても興味深いが謎は解けない。然しその夫は法律に基づいて女性から男性になって居るから過去はどうあれ現在男性だから父親で法的に不都合はなく、法の定めでは父親にならざるを得ぬと考えるが此の事件は法務省が何を考えて居るのかよく分からない不思議な判決だった。
此の男性は已むなく判決を受け止めたそうだが、そうなると世の中には身体の欠陥や病いから精子がなく他人から妻に精子提供を受け子どもを儲けた家庭が現在我が国には15000世帯も居り、此からも毎年100世帯以上増加して行くことだ。裁判では夫がもと女であったことから夫の子と認められなかったが、精子提供を受けて妻が子を産んだ事実には全く変わらない、さすれば無精子症で已むなく他人から精子提供を受けて妻に子どもを生ませた夫と前述の性同一性障害者の夫と何処が異なるのか、そして自分達夫婦の精子と卵子を用いながら畑が違ったばかりに最高裁まで駆け上って敗訴した高田向井事件などどう考えたら良いんだろうな、此の事件に対して裁判所が出した判断は「生んだ人が母親」であり、雄蕊と雌蕊が誰のものだったかについては目を背けて、「畑」が全てだと言ったのだ。
此は精子は常に夫のものであり、卵子は固有に畑と共にあるものだとする此までの常識を根拠にしたものだが、畑は別だと謂う「生殖補助装置」なる言葉までできた昨今、法務省も早急にこの言葉を受け入れて民法改正を急ぐべきではないのか。
犯罪の捜査に用いられるDNA鑑定で真実の親子関係がはっきりすると私は思う、高田向井事件でも最高裁は誰の腹から生まれたかに拘ったが、精子卵子共に高田向井自身のものを用いていることはDNA鑑定で容易に分かるが、借り腹の卵子が向井のものとは裁判所も想定外だったようだ、然し法律の不備や未成熟な部分を柔軟に裁くのが裁判所の本来の役目ではないのかな、裁判官は殺人事件などにだけDNAを証拠として採用しても親子の判定に冷淡なのは何故なんだろう、此はきっと代理妻には腎臓移植同様、金銭の授受が伴うことを法が嫌悪して居るからだろうが、此の少子化の時代でも石油製品の摂取を控えた生活をし、畑が肥沃で子どもができ過ぎ経済的に困窮している夫婦だって少なくなく、実際に性行為をする訳ではないから他人の精子卵子を受け入れて畑を貸すに吝かでない人も多数居ると思われ、法が赦せば500万円位なら喜んで出す希望者や家計を満たすため受け入れる希望者夫婦も少なくないだろう。政府も少子化打開の対策として法の扱いをもう少し柔軟にできないものか、ともあれ精子と卵子と畑の問題は倫理的な要素も強く、精子と卵子が全てで代理妻の畑が「生殖補助装置」だと万人が認めるには未だ未だ年月が掛かりそうだね:-)。

「オトコってオンナのおかげね」
上記の畑に託(かこつ)けたものではなかろうが、何処かでこんなキャッチコピーを見付けた。成る程その通りだと納得するが、「オンナってオトコのおかげね」と言われても合点が行かぬがどうしてだろうね?

島倉千代子が75歳で一昨日亡くなった。彼女はヒット曲の通り「人生いろいろ」だったね。男運の悪い典型的な女性であり、2度に渉り信頼する人に騙されて背負わされた20億円の借金は返しきれて居ないが、彼女も「この世の花」から「あの世の花」となった今、もう借金に心を痛めることもなくなった。良かったね、お千代ちゃん^^。

先週の誤字訂正の答え
百姓達が鋤鍬をとって代官達に鋒起した、(蜂起)でした

今週の誤字訂正の問題
政治に無感心な大衆

御教訓カレンダー 
「子は鎹(かすがい)」→「子は歌手がいい」 金の成る木