白梅 (1)

3月初旬は花の一番少ない時期だが3月と謂えば梅だ、西舞子お得意先Kさんの白梅をご覧に入れましょう。念入りに手入れをされて居たご主人が亡くなられてもう9年が経つが白梅はそれも知らぬげに咲き誇って居ます、でも少し寂しそうだ。

先月半ばの海中調査時に成魚が居なくて1年漁獲停止まで噂された播磨灘のイカナゴも何処かに隠れて居たらしく垂水の市場では先月末から売り出され1キロ1400円の高値に客の誰もが渋い顔をし乍らも長蛇の列だったが、1週間して1キロ1000円にまで下がった、イカナゴが成長して大きくなり過ぎたのだ。大きくなって嫌われるなんておかしな魚だね、小さくないと食べるとき骨が厄介なんだそうだ。

この辺りの人は誰も佃煮(釘煮)にして知り合いに送るのでこの時期垂水の街中が佃煮の匂いで一杯になる^^。郵便局ではヤマト宅急便を意識して特別製の容器をエクスパックに付けてくれたりと地域の情報に敏感だ^^。
私が子どもの頃は佃煮より5cm位の成魚を釜茹でにして2杯酢などで丸ごと食べるほうが多く栄養価も高かったが、骨の堅さよりも腸(はらわた)の苦かったことを今も忘れない。
イカナゴの1年漁獲停止騒動はプロパガンダだったと謂う噂もあるが、神戸市はこの際だから近隣市町村に呼び掛けて漁師達に1年毎に漁獲を自粛させ播磨灘を汚染させている膨大な海底ビニールゴミなどの浚渫を義務付けたらどうだろうか。聞けば底引き網には95%がビニールゴミで占められ5%の小魚を捕ってゴミは再び海に戻されると漁師から聞いたと怒りの灰谷健次郎は書いて居られた(>_<)。金儲けのタネである海の掃除もしないで「魚が獲れんなあ」はないだろうよ。

昨年亡くなられた宇沢弘文先生の「経済学は人びとを幸福にできるか」はとても楽しい書物だ。先ず題名が良いね^^。難しいことばかり書かれてあるかと身構えて読み始めたらメチャ面白いので魂消た^^。ご存じだと思うが此の先生は40年前に「自動車の社会的費用」を著されて我が国産業界に大きな衝撃を与えられた方だ。彼はノーベル経済学賞に日本人として最も近い学者だと謂われて居たが、それがダメだったのは先生が論敵を木っ端微塵にやっつける正義感の強い性格の持ち主だったからで、ノーベル経済学賞には充分過ぎる実力保持者であったと誰もが思っている。
近代経済学の祖と謂われるケインズを分析してノーベル賞を受賞し、ずっとシカゴ大学で同僚だったミルトン・フリードマンについて「彼は危険な市場原理主義者で、アメリカ経済学を歪めた。この結果がベトナム戦争の枯葉剤であり、更には2008年のリーマンショックである」と真っ向から指弾し、フリードマンの弟子達で固められて居るノーベル賞経済学賞審査委員会の妨げで授賞が叶わなかったのだろうが、其れは先生の本来あるべき姿を貫き通された結果なのだから正しいと思う。
先生の著作は言葉に衣着せぬ論調がとても小気味よくて諧謔に溢れ話が思わぬ方角に飛んで行きページを捲るのがとても楽しい。こんなことは学生時代の経済原論など受講しているときには決して味わえなかったものだから遅蒔きながら齢(よわい)80歳にして宇沢先生の経済学を学んで見ようと思う。
先生は1983年東京大学の教授を務められていた僅か55歳で文化功労者に選ばれた方だ、以下は先生のそのときの回顧録であり「経済学は人びとを幸福にできるか」文中に登場する^^。
受賞者は天皇陛下の御前で一人一人自分の研究を披露する仕組みにされており、研究の成果など難解な言葉の連続だろうから昭和天皇もウンザリされたと思うが、そこは慣例行事だから我慢して座って居られたようだ。このとき同席した一人は文化勲章を受章した建築学の権威武藤清(東京大学教授)だったが地盤の強くない東京で日本初の超高層ビルを建造したこととその安全性について委しく説明された。昭和天皇は武藤氏の話が終わると早速身を乗り出されて次のように言われたそうだ、「君、地震のときは上の階に居る人は大変だそうだよ」。武藤清が設計した超高層ビルは柔構造であり地震の時は上の階に行くほど大きく揺れて地震のエネルギーを吸収する仕組みであり、昭和天皇はそのことを指摘されたのだが、天皇のお言葉に対して武藤氏は答えて「建物は大丈夫です」。昭和天皇が重ねて言われた。「建物は大丈夫でも人間は大変だそうだよ」。武藤氏はこのお言葉に対しても答えて「建物は大丈夫です」。都合三回ほどこの遣り取りが続けられたが武藤氏の返事が少しも変わらないので遂に陛下は諦めて黙ってしまわれたそうだ。何故か可笑しいよね^^、武藤氏も一言くらい「ええ、中の人は大変かも知れませんね」とでも躱せば場が和(なご)んたと思うが融通の利かない此の建築学者は内装屋でも家具屋でもないから、建物さえ壊れなければ中のことは自分達の縄張りではないから知ったことではないとの信念と矜持があったのだろう。それにしても武藤氏の頑な態度に心底抵抗した昭和天皇は愉快な方だね^^。「ハードばかりかソフトも考えろよ」と武藤氏に言いたかったと思うし、武藤氏にしてみれば「建物の強度以外のことは言われたくない」との思いが余りにも強かったのだろう。
武藤氏の後で宇沢先生に順番が回ってきたそうだが、彼は陛下の前で舞い上がってしまって自分で何を言っているのか分からなくなって居たが、それを察して陛下が宇沢先生の話を遮られ次のように言われたそうだ、「君!君は、経済、経済と言うけれど、要は人間の心が大切だと言いたいのだね?」。昭和天皇のこのお言葉は宇沢先生を青天の霹靂の愕きに落とし込んだのだ、それまで経済現象に人間の心を持ち込むことはタブーとされていたから昭和天皇の宇沢先生の窮地を救う何気ないお言葉がそれからの宇沢先生をして「経済学と人間の心」を結びつけるコペルニクス的転回への転機だったそうだ。
この本を読んでマルサスの人口論辺りの解釈でペシミスティックになって居た私はこの面白い脱線記事の挿入には全く仰天してしまった^^。人って中身は分からんもんだね。
昭和天皇は普段「あっそう」としか話されなかったと思ったけど実はとても聡明な方だったんだ^^。それなら曽孫娘はどうしてあんなにバカそうなんだろう。
宇沢語録には笑いを堪えるのに腐心する秀逸なものが数えきれぬが、紙面の都合で何れ後日ご紹介しよう^^。

13歳の少年を殺したあの残虐極まる非道な18歳少年(何処が少年や!)には精通家の意見では少年法が適用され懲役5年がやっとだそうだ(>_<)。
片や新聞一面で18歳は成人と見なしては選挙権とか…、アダルトビデオだって18歳で解禁なんだし、あの極悪少年も18歳も成人と見なして裁判は求刑死刑からスタートしないと国民が納得しないのではないか。そして彼奴の極道を加勢して、ことある都度学校に怒鳴りこみ同級生を恫喝したパンチパーマの父親も罪に問われるべきだろう。又遼太くんのSOSを見逃した母親だって罪は軽くない、母親失格だ。

先週の書けないけど読みたい漢字
彼女と理(わり)無い仲になった

今週の書けないけど読みたい漢字
彼は直ぐに(辯疏)をする

理無い
「理無い」とは理屈ではどうにも理解できない、男女の仲を評して謂う。