漸く確定申告の提出期限を明日に迎え、うちでは先週半ばに電子申告の送信と税務署提出分全てを終了しました。電子申告に税務署持参書類とはハテ?面妖な話ですが、青色申告決算書などで添付書類が様式の行数に入り切れない場合は従来ならエクセルなどで作成した書類を青色決算書に挿んで提出していましたが、電子送信ではエクセル書面など当然受け付けられないため、わざわざ一枚か2枚の書類だけ申告書等送信票(兼送付書)に添付して所轄税務署へ持参又は郵送することになりますが、受け取った税務署も16桁の利用者識別番号と20桁の受付番号を入力して電子送信された申告書と識別番号などの突合する作業がさぞ大変だろうなあと同情してしまいます。何せ識別番号等のフォントが約7フォントと小さいために私などどんなに目を凝らしても読み取れませんから税務署員もさぞ大変でしょうね(;;)怨むなら持参した納税者や税理士ではなく電子申告制度を創設した国税庁をどうぞ…(^^)。
確定申告が済んだら済んだで1月決算が待ち構えて居ますが、酷使した老体も労って遣らねばならず、残業続きでトゲトゲした気持ちも休息させねばならず、この歳にもなると休息には頭脳を酷使するネットの囲碁対局より幼い頃から青年時代までに親しんだ懐かしい歌に接することが何よりも効果的でありこの週末は夕べの一刻に走馬燈のように巡る若き日の情熱を掻き立てて身心のリフレッシュを図って居ります。(^^)好きな作曲家はモーリス.ラベルの“ボレロ”から山田耕筰の“赤とんぼ”まで何でも御座れとまるで節操がありませんが、皆様は“夜のプラットフォーム”と謂う曲をご存じでしょうか。ご存じない方は是非一度聴いて下さい。この歌は戦後間もない混乱期に登場して瞬く間に日本中を席捲した恋の歌でありましたが、この歌は実の処、戦前に反骨の作曲家服部良一によって作られ淡谷のり子によって歌われ乍ら、兵士の士気を削ぐと軍部に糺弾されて直ちに発禁処分された悲しい過去を持って居ります。
【夜のプラットフォーム】
歌詞をよく聴かれたら頷けると思いますが、此の歌は恋人との再会を約束した別れの歌などではなく、御国のために死地に向かおうとする兵士の新妻がプラットフォームの陰で涙を抑えて“愛しの君いつ帰る”と奇跡を祈っている惜別の歌でありました。(;;)
幸いにも歌詞が軍部を意識して曖昧だったことが幸運であり、戦後アルトの名手二葉あき子によって恋の歌としてリバイバルを果たすことができましたが、私はこの曲に特別の思い入れがあり中学二年生の時、神戸にラジオ関西が発足した記念公演に新開地の松竹劇場(今はパチンコ屋(;;))で彼女が歌ったこの曲が何故か忘れられません。此の曲の前奏部分の心(うら)悲しい汽笛の音色が堪らなく好きでオンチの癖にわざわざアコーディオンを買ってきてまで一所懸命弾いたものですが、生まれ付きの左ギッチョが災いし、リードボタンは上手く?熟(こな)せるのに右手の鍵盤が覚束なくてとても人前で聴いて貰える代物ではなく、大学で囲碁部が忙しくなった頃この楽器とさよならしました。(;;)
二葉あき子と謂えば“水色のワルツ”なんて素晴らしかったですね。私が高校一年生の時ヒットした名曲でありましたが、格調が高くて伴奏がアコーディオンでは品位を損ねる位であり、学生時代大阪北のOS劇場の横にあった喫茶“田園”に彼女がよく来演されましたのでわざわざ神戸から聴きに行ったものです。舞台と違って喫茶店ですから歌われる姿は目前3mであり、彼女の巨体と声量には唯唯圧倒されたものでしたよ。(^^)
数年前に黄泉の国の住民となられましたが、50年前信州で小学校の音楽の先生をされて居た私にとって忘れられない女性が“水色のワルツ”の作曲をされた高木東六先生のお弟子さんであったために此の曲への私の感慨はとても深く、死んだら東京ソフィア合唱団の“水色のワルツ”のCDをかけて葬送して欲しいと愚娘達に申し伝えて居りますが果たして憶えていて呉れることやら…(;;)
二木紘三さんの“うた物語”によれば、高木東六先生は実はクラシック専門の作曲家で、47抜(よなぬ)き(音節のうちの4番目のファと7番目のシを入れない曲で日本的メロディーの特徴)が多い歌謡曲を“乞食節”と呼んで品がないことを嫌って居られ歌謡曲とは無縁の存在の方であったそうです。クラシックの作曲家が47抜(よなぬ)きを無視した歌謡曲を作られると斯くも美しい曲になるのかと驚嘆してしまいますね。
処で今の若い方には“♪君に逢う嬉しさよ…♪” “♪君いつ帰る♪”の“君”の意味が万葉の世界から現在まで慕わしい男性への憧憬の言葉だとしっかりと理解できているのでしょうか?
久し振りに年寄りの昔話を聞かせてしまいました。又此からも折に触れて出てくると思いますが、どうかご容赦下さい。<(_ _)>
大阪のおばちゃんは逞しいとは何処ででもよく謂われる言葉ですが、逞しいなどとっくに通り越して超人的なおばちゃんが先週現れました。大阪生野区で朝の8時頃自転車に乗っていた71歳!のパートのおばちゃん?が前籠のバッグを自転車で近づいた若い男に引っ手繰られ乍らも怯まずに350m追い掛けて、最後は自転車を捨てて走って逃げた男に追い付いて腕を掴んで男を取り押さえたそうです。(^^)おばちゃんに怪我はなく最近の若い男が如何に軟弱で且つ不甲斐ないかをいみじくも立証する事件でありましたが、このおばちゃん?は“腹が立ったので絶対掴まえてやろうと思った。若い子やったので気の毒やわ”と余裕で語ったとか…(^^)犯人は32歳の無職の男性で、近くで引ったくりが2件発生しており、警察ではその事件との関連を調べているそうですが、71歳と謂えば幾ら何でもおばちゃんよりおばあちゃんに分類される年齢であり、32歳の若者を掴まえた膂力は半端ではなく普段から足腰を鍛え力仕事のパートでもされている方と見ました。取られかけたバッグの中のお金は110円だったのも大阪人らしくて愉快でしたね(^^)泥棒さんも逃げ果せてバッグを開いたときのショックの方が大きかったでしょうから、おばちゃんに捕まって却って良かったのかも…(;;)
何時だったか戦前の小説を読んでいたら“52歳の老婆が…”なる記述がありましたが、今や52歳は女盛りの熟女であって子供だって生める方も少なくなく、戦後60数年を経過して71歳のおばさんが32歳の若者を超える体力の持主とはいやはや恐れ入りました。実(げ)に女は強しでありました。この方きっと警察署長より犯人逮捕の感謝状が手渡されることでしょう。一昔前なら免許証の裏に犯人逮捕など記載して頂いて、スピードや駐禁など人身事故以外の軽微な違反は全て大目に見て貰えたのですが、この頃はどうなんでしょうか。(^^)
先々週の漢字の答え
巨と謂う字は本来“工(たくみ)”の中棒の真中辺の右側に“⊃”のような“把手(とって)”が付いて居て矩形の定規を表す字でありました。その後段々と中棒が左に移動して現在の巨に至って居ますが、旧字体の巨の上下の横棒が僅かに左に突きだしていることから、この字の部首が”工”であることが理解できます。(白川静著”字統”より)
今週の問題
傅く 跼る 找す 彳む 立ち徘徊る
この五つの“読み”が全部できれば漢検1級楽勝です。(^^)
来週より愈々女子プロゴルフツアーが本格開幕のため漢字の出題は本日が最後となりますので少し骨のある問題と致しました。