秋の装い

台風一過、本当の秋がやって来た^^。28度が一遍に19度に下がったから震えたね、うちの小さい庭にも小さい秋が来た。短い秋だから大切にしよう。
大きな颱風だったが被害は予想より遙かに少なく僥倖だった^^。風も思ったより強くなく雨だけで済んでホッとした。でも私鉄は動いているのにJR西日本は気象予報だけで前日早々(はやばや)と運休を宣言して早くに運行を取り止め多くの乗客から顰蹙を買った。未だ台風が来ても居ないのに運休を決めるなんてあんまりだ、切符は払戻が受けられるが、定期券の乗客はどうなるのか?JR駅周辺の商業施設もやむを得ず営業を終了させられたから、他人(ひと)を顧みぬJRの姿勢は停電で車中泊などを恐れた過剰防衛と非難されても仕方がない、やっぱ国鉄の体質は変わらんね、強者の驕りだな(>_<)。

池上彰と謂えば天下の朝日新聞を相手に一歩を引かずに刃向い遂に頭を下げさせ男を上げたNHK出身の著名な経済評論家だ、昔「週刊こどもニュース」のお父さん役で一躍有名になってたよね、あの番組は分かり易いので子どもより大人の方が多く見ていた。小難しいことを謂う経済評論家より遙かに日本経済の仕組みがよく理解できたからだ。今では各紙にコラムを抱えて大忙しだが、この方の文章は自己主張がなく平易でバランス感覚に富んだ処が読み手の魅力だと思う。日経朝刊に連載されている「大岡山通信」では先々週「美しい日本語」と題してロシアのウラジオストクを訪れられたときの出来事を記されて居た。此の街には極東連邦大学があり国際関係学部の日本語科には多くのロシア人が学んで居り、誰もが親の仕事の関係から日本語を学んで居たが、一人の女子学生だけは違っていて、彼女の日本語を学ぶようになった動機が「日本語は音楽のように美しい言葉なので勉強したかった」そうだ、仰天するね(゚ロ゚)、日本人の日本語は漢文の素読などで培われた五七五調の抑揚に富んだ美しいイントネーションから何時とはなく平坦な口語体に変わって他国の言葉に比しとても貧弱で恥ずかしいものになったと私は思って居たから一人のロシア人の少女にこんな風に言われると戸惑ってしまう、「勉強して見てどうでしたか?」の質問の答は「矢張り美しい音楽だと思いました」だったそうだ^^。感性と謂うものは人によって異なるものだろうが、私の喋っている日本語も美しい音楽なんだろうか?確かにロシア人やドイツ人が唾を飛ばしながらガ行ダ行と濁音をがなり立てることを思えば抑揚に乏しい平坦な日本語が美しいと思えるのかなと思ったが、みやざき中央新聞に書かれて居た「虫の鳴き声とか打ち寄せる波や小川の潺(せせらぎ)など自然界の音を聞き分けられるのは日本語固有の特長で他国人には日本語に余程精通しないと此等の擬音語が雑音としか聞こえず帰国子女も日本語に堪能になれば此等の擬声音が雑音でなく雅な響きとして聞こえる」そうだから日本語って本当は美しいのかも知れないね、今も窓の下では蟋蟀がコロコロと囀(さえず)っており私の心を優しくしてくれて居るが、他国人には此が雑音としか聞こえないなんて可哀想だね。

このロシアの少女が日本語に触れて真の美しさを見出したのは「川端文学」であり、それも「伊豆の踊子」でも「雪国」でもなく「山の音」だったのには池上さんも仰天されたとか…(゚ロ゚)、「山の音」は高校のとき読んだが、老いを自覚した実業家が深夜に響く山の音を死の予感として恐れながら尚恋心を燃え滾らす晦渋な作品で我が国の学生でも先ず読み熟せるとは思わない、ましてやロシヤ人の少女において況んやだ、好きな作品に円地文子の「女坂」が登場したのには池上さんも絶句されたそうだ、村上春樹などと違ってこの作品にロシア語訳があると思えないから日本語の新潮文庫でも読まれたのだろうが、「女坂」は孤立無援の生涯を生きた「明治の女」を描いた作品だ、明治政府の高級官僚が妻の心も慮らず妻に探させた稚い少女を愛人として同居し、さらに二人目を、ついには息子の妻とも関係を持ち妻の心をズタズタにするが妻は心の奥に悲しみも恨みも怒りも抑え込みじっと耐える、彼女の心の葛藤は年月の経過と倫理観の隔絶もあり到底現代学生の理解を超えた世界だ、櫺子窓(れんじまど)とか絎台(くけだい)権妻(ごんさい)など聴き馴れぬ言葉が満載だから今の日本人学生でも全く手に負えぬだろうね、それに我が国の学生は円地文子を知っているだろうか?不惑を超えた愚娘も知らなかった(;;)、日本語を音楽として捉え、軈ては円地文学にまで辿り着くなんてこのロシヤ人の少女の教養の深度は物凄い!脱帽だm(_ _)m。ロシア人ってプーチンみたいな陰険で邪悪で腹黒い人達ばかりじゃなかったんだ!

美しい日本語の序でだが、夏目漱石は東京大学(旧制一高)での講義で「I love you」の和訳について学生の質問に答えて「月がとても綺麗ですね」と答えたと謂われる。トンチンカンな訳のようだが私は含蓄に富んだ良い訳だと思う。日本人とアメリカ人の感性の相違で此の言葉を直訳して受け止めるには何時の世も日本人の貧弱な感性では無理があるのではないか。特にあの当時は「I love you」を訳する言葉がなかったし、シャイな日本人は「愛する」は男女間の話言葉として浮き上がるので使ってはいけない言葉の範疇に入れられていたのだと思う。
現在ではどうだろう、矢張り愛すると言う言葉は話し言葉ではなく「僕は君がいっちゃん好きやねん」位が良いのも知れないね、直訳すれば言葉だけ浮き上がってお互いの雰囲気をぎこちなくするに違いない。漱石の言いたかったことは「I love you」の「love」を当時も今も日本語に直訳することにはムリがあり、相手と寄り添っていることへの満ち足りた自分の心の状態を言いたかったのではないかと思う。私なら「ずっと一緒に居って欲しいなあ」と訳したいと思う。「愛」と謂う言葉を使って似合うのは宝塚歌劇団の舞台位じゃないのかな?
真の愛は見返りを求めないものだと謂われ、一方では「愛は真心、恋は下心」と言う言葉があるが、「心」の位置が字の中心か字の下かを捩(もじ)ったもので面白い比喩だ。愛は恋ではなく純粋なんだね、それなら恋はセックス目的なのか?

小渕優子経済産業相に進退論が巻き起こっている、お父さんの急死から何も分からぬ儘、後継者となって14年、お嬢さん育ちだからお金のことなんか自分の議員報酬だって知らぬだろうな、まして講演会の観劇会費なんて自身はゲストのつもりで居たに違いない、多くの会員が12000円の会費を払ったと言っているから全てはこのお嬢さんを操り人形にして先代から事務所に棲みついて古狐達が懐を肥やそうと優子さんをタレント扱いし彼女は蚊帳の外なんだろうね。優子さんはまるで枕芸者をさせられるAKBだね。可哀想…(;;)

阪神が久し振り9年目の日本シリーズだ!他チームでなく巨人をやっつけたのが痛快だったね、甲子園でなかったのが残念だったが、巨人の本拠地東京ドームだったから巨人ファンに一泡も二泡も吹かせ逆に良かったのかも知れないね、快感だったなあ^^。

先週の仮名付けの答え
愕いて目を)瞬(しばたた)く 瞬(またた)く間に通り過ぎた

今週の仮名付けの問題
妻と(逸)れる 話が(逸)れる