春が来た気配は不幸にして目が痒くなり今年の花粉症を体感することになりました(;;)。色々あった令和3年度の確定申告も漸く無事終了することができて全員ホッとする反面、確定申告に感(かま)けて放置していた関与先法人の決算や月次帳簿処理など日常業務が一杯残って居ることを思い起こしもうひと踏ん張りせねばならぬと覚悟を新たにして居ります。

「あゝ野麦峠1&2」は多くの方の共感を呼びました。私が購入した令和3年版は再販に続く再販でナント!75版であったのには驚きました(@@)。読者からの投書や資料提供に基づいて著者が更にペンを取られた力作「続あゝ野麦峠」を読むと北アルプスの野麦峠を越えて岡谷に向かった工女の中には飛騨高山在の少女ばかりでなく越中富山の八尾(やつお)からの少女も多く野麦峠を越し、岡谷までの往還をして居た事実が新たに判明します(@@)。著者が実際に八尾を訪れてそれが真実であることを確認されたそうですが、「越中おわら節」で有名な富山県八尾町から飛騨高山まで直線で凡そ50km、野麦峠には及ばぬまでも冷たい高原を野に山にと高低に加えて、高山を経由し野麦峠を経ての強行軍は筆舌に尽くせぬものだったでしょう。昔の子供の逞しさより今の子供を始めとする多くの若者のメチャ軟弱な身体機能に腹立ちを禁じえませんが、我が国も韓国に倣って男子に兵役義務を課したらどうでしょうか!

話は戻ります。富山の八尾(やつお)と謂えば誰もが越中おわらの祭の夜に互いに心を通わせながら、離ればなれに20年の歳月を生きた男と女が辿る危うい恋の旅路を八尾を舞台に美しく描き出した作家高橋治の直木賞受賞風の盆恋歌」が懐かしく思いだされます。此の唄は八尾で歌い継がれる民謡であり、毎年多くの観光客が訪れるおわら「風の盆」にてこの越中おわら節の旋律に載せて若い女性の踊りが披露されます。雪洞に灯(あかり)がともり、胡弓の音が流れるとき、風の盆の夜が更ける「風の盆恋歌」は石川さゆりが唄ってレコード大賞でしたからご存知の方も多いでしょう。八尾の少女達の旅は越中八尾から飛騨高山まで直線で15里(60km)であってもアップダウンがあり約2日を要したと思います。著者が実際に聞き取った八尾の少女(当時)高井すえの話「初めて糸引きに出たのは12歳だった、それまで4年子守に出ていた。」此の在所では飛騨高山と風習を異にして糸ひきのできない者は嫁に行けない仕来りで全員糸ひきに出て居ました。「それでわしは13年間糸ひきに通った。2月頃雪の野麦峠を越えて行ったときのことは今も忘れられん。出発のときオレも近道を行くと野麦を越えた。」飛騨の高山でそこの女子と一緒になり野麦峠まで5日も6日も掛かったが、ここまで来ると疲れ果てて動けなくなるものも出てきた。八尾から野麦峠を越えての岡谷までの往路は凡そ260kmにも達し少女たちの徒歩での強行軍は筆舌に尽くせぬ労苦であり想像を絶する過酷な道程であったと思われます。雪の野麦峠はあまりに過酷なので後には海岸線を直江津まで歩いて行くことになったが、距離は120km(約神戸岡山間)と長くても平坦であり直江津には既に岡谷へ行ける汽車が来ていました。昔の少女って逞しいなあと思ったものです。キカヤでは朝4時から夜10時まで働き詰めで休みはなかった。食事は4回でも少なく夜はおにぎりか芋が出たがひもじくて動けなくなり家からも豆や干し栗を送って貰ったとか…。

八尾からキカヤに行ってから仕事はずっと苦しかったが唯一楽しかったことは年に一度のお盆に他の工場の者も越中者ばかりを集めて「越中おわら」を一夜町を流して歩いたことだった。「あの岡谷のお盆の楽しさは今も忘れられない」辛い過酷な仕事の中での故郷を想う年一回の楽しい踊りは生涯の想い出として脳裏に深く刻まれたことでしょう。恐らく日常抑圧された青春のエネルギーが夏の夜の一夜爆発してのもので「♫ 越中で立山、加賀では白山、駿河の富士山、三国一だよ。キタノサー、ドッコイショ♪」哀調を帯びた北陸独特の旋律は一夜中岡谷の町並みに溢れたのでした。越中八尾の人達はその後10数年を経て故郷に帰って結婚し、貧しいながら死ぬまで糸を繰ることを生業(なりわい)としたそうです。

「あゝ野麦峠」には北アルプス安曇野の山々が再々出て参ります。私は初めて信州を訪れたのは囲碁部の主将となった大学3年生のとき先輩に招かれた夏の合宿でした。普段山と謂うものは目の前に見えるものですが、驚いたことには松本駅では頭の真上に山があることでした(@@)。

合宿で車座での晩餐時にはお酒が出て先輩が唄った安曇野に伝わる俗謡が今も忘れられません。                            「♫酒は焼岳、心は穂高♪、早く乗鞍、槍ヶ岳♫」                                  とお猪口(ちょこ)を片手に首を振って唄うのです。昔の方ってお米も碌に食べられない貧しい暮らしの中でこんなに諧謔心が旺盛だったのにとても驚いたものです^^。

ウクライナ情勢は予断を許さず原油欲しさに西欧はプーチンの専横を止めようとしない(;;)。多くのウクライナからの難民の訴えには身が詰まされ、遣リ切れない抵牾(もどか)しさに我が身を捩(よじ)って居ます。銃弾の中をキエフに留まって必死で国を護るウクライナの大統領は立派だと思いますm(_ _)m。

先週の読めそうで読めない字    深い縁(えにし)で結ばれる

今週の読めそうで読めない字   (雪洞)に灯をともす