年末調整が終わってヤレヤレと凝った首を回していたら、もう確定申告の秒読みに入りました。昨年からの税制改悪でそれまで所得税がゼロであったのに、今年の申告で納税義務者となる方がやたらと多くなりました。うちの事務所でも昨年まで扶養家族として控除されていた方が年金控除の減額に伴い扶養家族から外され、更には老年者控除の廃止に伴い年金から税金まで控除され申告する羽目になりダプルパンチを受けた方が多数出て参りました。天国から地獄へ真っ逆さまとはこのことであり息子からは扶養家族が減って税額が増えたために厭な顔をされるは、税金は取られるでは、それでなくても家の中で肩身の狭いお年寄りが可哀想でなりません。
小泉総理にこうした弱者の痛みが分かるのか!いいえ、生来のお坊ちゃんに痛みなど分かる道理がありません。こうして捻出された税金はブッシュさんのご機嫌取りでイラク派兵の諸経費として浪費にされるのでしょうから我々国民は全く遣り切れませんよね。(;;)
今日は今回の税制改悪に伴って税務署や我々税理士更には申告者に降り懸かった種々の災難についてお聞かせしたいと思います。
先週月曜日に須磨の寿楼で須磨税務署と近畿税理士会の須磨支部両者で毎年恒例の確定申告税務署支援日の打ち合わせ会がありました。確定申告の応援は40年以上も年中行事で狩り出されていますが、その昔は昼食位出ていたのですが最近の10年位は手弁当となっています。(;;)
国税庁では確定申告時期になると毎年商工会議所や納税協会の名を借りて我々税理士を半強制的に狩り出し各所の会場で申告指導をさせることが何時の間にか不文律となり当たり前となってしまいましたが、その原因は他の役所と違って日頃の仕事の消化だけで目一杯忙しい税務署では到底3月15日までの1ケ月半にどっと押し寄せる申告者(事業所得者ばかりでなくサラリーマンのサイドビジネスの申告から医療費控除や住宅取得控除に加えて中途退職者まで)の殺到に到底対応仕切れないのです。受付事務などはバイトの女子を雇ってでも凌げますが、何せ申告の中身は難解な所得税法が理解できていないとどうにもならないため税務署員でも法人税や酒税部門の人はイマイチ役に立たず、税法のオールラウンドプレーヤーである税理士が重宝される所以です。何やら弁護士に判事さんの仕事を手伝わせているようで法曹界なら到底赦されぬことですが、税務署の場合増加する納税者に対し職員の絶対数が少なく、ここ数十年来高度成長による納税者の増加にも関わらず税務署の人員は55000人と定められており削減予定はあっても増員は全く望めなのが現状です。已む無く酒税や徴収部門を縮小して課税調査部門に人員を回していますがそれにも限界があり現在では全国で税務署員とほぼ同数の税理士の協力が欠かせぬのが現状です。我々とて1年中で蟋蟀の手を借りたい程一番忙しい時期ですからお国のご奉公は切ないものですが、税理士会のお偉方達が国税局の幇間のような連中ばかりですから反対して彼等に睨まれるとロクなことがないのでじっと我慢の子で協力しています。
我々が狩り出される日数は税理士数の多い税務署と少ない税務署では大きく異なっており、法人の多い神戸税務署や東税務署は税理士数が多くて1日程度ですが、郊外の住宅地を管轄する税務署は申告者が多いため税理士も日数が3日-5日と多くなります。
私の地元須磨税務署は後者に属するため3日程度ご奉公することになっていますが、寒い部屋での昼食も出ない一日仕事は結構ハードであり、寄る年波には勝てず、確か以前高齢者は確定申告の支援が免除されると聞いていましたので、70歳になり医療費の自己負担分も昨年末から2割になったことだし税理士会にその旨をメールで申し出たら“高齢者の免除対象者は75歳からに決められて居る”とポンと蹴られてしまいました。(;;)
つい十数年前まで定年は55歳だったのが何時の間にか60歳になり今や65歳の声が聞かれる昨今ですが健康保険も医療費も70歳から高齢者とされるのに、税理士会独り75歳からを高齢者と決め付けるのはどういう訳じゃ!
30代40代の働き盛りの税理士と70代の税理士を同じ条件での土俵ではちょっと酷いですよね。ま、日本税理士連合会の偉い人たちが国税局へのお為ごかしで決めたことだし昔から“泣く子と地頭には勝てぬ”と謂いますから我々雑魚は“ごまめの歯軋り”で泣き寝入りするしかありませんが、何処の世界でもトップの連中は最も大切にしなければならぬ下っ端への思い遣りに欠けているように思いますが、よくよく考えて見れば我が国では弱者は踏みつけるものであって、下っ端のことなんか考えている人達は何百年経ってもトップに上がれない仕組みになっているようですね(;;)税理士会もその例外ではないようです。我々から年間8万円余総額50億円もの会費を取っては自民党に巨額の献金をしてながら財務省の税制大綱から中小企業の留保金課税の廃止すら阻止できないのでは何のための献金やら我々は踏んだり蹴ったりですが、こんなことは毎度のことであり、“艱難辛苦汝を珠にす”とか謂いますよね。お陰様で私達木っ葉税理士も雑草並みに少々のことでへこたれぬ人間に鍛えて頂きましたから上部の連中に心から大いに感謝すべきでしょうか。(^^)
何時ものことで話は他所に飛びましたが今年から大変だと私が言ったことは高齢者のことばかりではなく、この3月には消費税法の改悪により05年に課税事業者となった事業者(03年度の課税売上高が1000万円超である事業者)の申告と、更に冒頭に述べた年金の新規申告者がどっと出て参ります。聞けば須磨税務署だけで消費税の新規課税事業者が2500人、年金の新規申告者が3000人都合5500人増える算用だそうで、全国の税務署の数が524署あり須磨は丁度中規模税務署ですから全国の新規申告義務者は消費税年金を併せ少なくとも300万人近くになるのと思われ、現在の申告者はせいぜい1000万人強ですから、この30%増しの300万人の方々の新規申告に対応する能力は現在の税務署には到底なくこの状態は尋常ではありません。
その理由は愚かな政府が第一線の申告事務処理能力については何も考えずに所得税法や消費税法の改悪を閣議決定したものであり、現場軽視の誹(そし)りを免れず誠に遺憾千万でありますが、法律と謂うものは変えればよいと云うものではなく執行面の事務能力の限度まで配慮したものでなければなりません。自主申告が建前でも納税者に申告書を書く能力がなければ税務署が構って遣らざるを得ませんよね、税務署職員の方も大変ですが詰まるところ、我々税理士に究極の皺寄せが来ております。須磨税務署の支部に対する提案は昨年まで対面1対1の指導であったのが、今年からは税理士が一人カウンター2脚の内側に居て申告来場者を8人同時にこなして呉れとの要望ですが、聖徳太子であるまいし同時に8人も対応できる道理がありませんし、この年寄りに朝から晩までカウンターの端から端まで独楽鼠のように動かされるなんて体力の限界を遥かに超える苦役です。余りの役所の身勝手さに義憤を覚え個人課税一統括官にその旨詰め寄ったら“未だ案の段階なので…”と逃げを打たれました。恐らく税務署内部でも花火大会での朝霧歩道橋のような事態を避けようと焦燥感から出た発想であり苦肉の策ではなかったかと思いますが、税務署とて被害者なのです。聖徳太子でも居ないと捌けない多くの申告義務者を作ったのは一体誰だ!
かくなる事態に至った税務署では年金申告消費税申告について最早3月末までに申告が完了できるなど努々(ゆめゆめ)考えても居ず夏場を越えて気長に申告の慫慂をして行くつもりではないでしょうか。私は本年還付会場での従事となったので未だ良かったのですが消費税相談に当たった税理士は大変です。困ったことには消費税は所得税と申告書の難易度も一味もふた味も違い一口に5%と謂いますが書類の上では国の消費税4%と地方消費税1%を別計算で算出する仕組みであり、その算式と記入方法がメチャ煩雑であり、その中でも簡易課税と呼ぶ奴は複数業種を営んでいる人達には簡易どころか難易度の高さでは他の税法の比ではなく、難解課税と呼ぶべきものであり、恥ずかしながら我々税理士も実計算に自信が持てず消費税ソフトに頼るところが多いものです。市町村も1%の消費税を貰っているのですから、申告期間中だけでも地方自治体からそれに見合う人員を供出して貰えば頭数だけは揃って申告処理が可能な筈なのですが、地方自治体の連中は不勉強で消費税を1%貰いながら全ては国におんぶに抱っこであり、消費税法など何も知らぬ無駄飯喰らいの奴ばかりですから来て貰っても邪魔になるだけであり、マイナス効果ではどうしようもありません。(;;)
国税庁も少しは頭を働かせて消費税の申告書は5%で記載させれば申告書の煩雑さが50%以上簡素化されます。そうしておいて入った税収の20%を地方交付税と併せて地方自治体に支払えば何の問題も生じないと思うのですが、何故かそれが出来ないで申告書を4%と1%に分けることで納税者、税理士、税務署員の三者を計算地獄に蹴落としております。実は二つに分けねばならぬにはそれなりの詰まらぬ理由があり、平成9年10月に消費税が3%から5%にアップされた際、それまで全部お国が取り上げていた消費税をアップ分2%を国と地方で折半するお約束となったものですが、3%当時に契約したリース料のなかで未だに僅かに生き残って息をしている奴がいるのです。リースは大体5年から7年程度ですから大半は現在終了しておりますが、電話など極く一部で10年リース消費税3%が僅かに生き残って居ます。その極く僅かな奴のせいで申告書がメチャ書き難くなっているのです。3%消費税の申告件数は納税者全体の1%にも満たぬ数ですから、その人達だけ別申告用紙を選択させればよく、極く極く僅かな納税者のお陰で99%強の者が難解な申告書を強制させられるのはどう考えても不可解であり、国税庁が自分とこのソフトを改造したくないばかりに多くの納税者や税理士だけでなく己が身内である税務署員にまで迷惑を及ぼしていることに気付かぬ能天気さにはほとほと愛想が尽きます。(;;)
売上が1000万円程度なら儲けも知れていますから税理士にお金を払ってまで申告書を書いて貰う事業者は半数もありません、1日仕事でも無料の申告会場や税務署へ来る方が多いものと思われます。消費税法の改悪の筆下ろしをした財務省のエリート役人共は一体から第一線の税務職員の怨嗟の声をどう聞いているのでしょうか。(;;)得意先は少しも増えないで無料相談日ばかり増える我々税理士の恨み節もついでに聞いて頂きたいものですね。
今度の申告にはそんな消費税など払えるか!と申告にすら来ない事業者が相当数出ると思いますから、無申告者への訪問と申告の慫慂は、限りなく根気を必要としますが今年の夏は各税務署個人課税部門の方々には正に受難の年となりそうです。
江戸時代から幕府は片道平均3000両を要すると謂われる大名の参勤交代や江戸城の城壁改修などを命じて各藩の財政を追い詰めて謀反などを起こさせる芽を摘んできましたから、各大名は年貢を操作して窮乏する懐(ふところ)を補っていましたよね。そのために藩士の俸給を下げることは勿論、代官を増やして反当りの年貢を増やしたり百姓の隠し田などを摘発し、更には新田の開墾とあらゆる方策を講じて藩の財政を維持してきましたが、今回の改正は藩士の俸給には手を付けず、代官も増やすことなく郡役所に年貢増額のお触れを回しただけの如き状態ですから、此の儘ではお役人の思惑通りの税収が得られる道理がありません。
税務署の消費税担当の方々は納税者に八つ当たりなどしないで消化もできない法律を闇雲に改悪し、更に申告書の簡素化も考えないで己の昇進や天下り先のことばかり考え、下々のことは考えようとはしない財務省のエリート役人達に対し一致団結して百姓一揆ならぬ税務署員一揆を全国一斉に起こされたら如何ですか。きっと税理士も味方するでしょうし、何より申告などくそ食らえと税務署員が叫んでいるのですから一般庶民が大喜びしますよね。政府も税金が入ってこないのでは忽ち干上がってしまいますから増税案を作った財務官僚を税務署の第一線に更迭して国民や税務職員を宥(なだ)め、更には内閣総辞職をして事態の収拾を図ることになるは必定ですが、第一線に更迭された元エリート官僚達は自らが蒔いた種とは謂え惨めでしょうね。彼等には法律案を作ることはできても、”評論家に小説書けぬ“であり、申告書を書く力など全くありませんから、確定申告書を見ても何が何やら分からず、税務署に入ったばかりの高校出の若造に”東大出とって、そんなことも分からんのか!“とバカにされる羽目となるでしょうから小気味がいいですよね。(^0^)/
じいちゃんの独り言ならぬ先週月曜日の夜に見た “じいちゃんの遅い初夢”でした。(^^)
皆様確定申告をされる方今年は特に早く行かれたほうがいいですよ。建前は2月16日からですが、還付申告は1月20日に申告用紙が到着した方の中でその日の内に早や数十名が来署され申告されたそうです。税務署では何時も9時からではなく8時半に開署していますから8時過ぎに並ばれたら早く済みますよ。
水耕栽培ですくすく育っていた相生市の”ど根性大根“が危篤だそうです。何でも種を取るために元気付けようと園芸屋に相談したら”土に戻せ“と言われて土に植えた途端に様態が急変し茎が曲がってしまい危篤状態になったそうです。未だ根も出ていないものを土に戻すとは我々素人が考えても非常識極まるものであり、園芸屋も何を考えているのでしょうか。役所では慌てて水耕栽培に戻し識者の意見を参考に集中治療室に入れて回復に努めているそうですが果たして病状は回復するでしょうか。相生市では毎週月曜日に”ど根性大根“の成長記録を更新していますから、皆様明日30日をご期待下さい。(^^) 閉鎖されていたりして…(;;)
今日は税金の話が長すぎて、お伝えしたいことは山ほどありましたが紙面が尽きました。今日は税金に興味のない方御免なさい