相変わらずの暖冬が続いています。先週水曜日は我々税理士が税務署との申し合わせで義務付けられた海辺の水産会館での確定申告支援会場派遣の日でありましたが、倖い温かい一日であり、毎年寒風吹き荒び隙間風に悩まされる荒行でしたから日頃の心掛けを神が愛でてくれたものか今年は随分楽をした感じでした。
然し、納税者にとっては駅から2号線を横切って海まで10分近い徒歩での来訪となりますから、寒い日も多いことだし税務署も何も吹き曝しの海辺の辺鄙な場所を相談会場にしなくても駅前バス停の横にある区役所なら会議室(貸席用も多し)が大小多数ありますから、どうして利用しないのか不思議でならず、先日の打合会のときに税務署の統括官に聞いてみたのですが、実は区役所でもこっそりと外部非公開で3月5日から9日まで税理士による申告相談日を設けているとか…{%gakkari%}区役所は住民税課税のため税務署に負んぶに抱っこで資料提供の恩恵に預かっているので、会場の無料提供は些かも吝(やぶさ)かではないでしょう。どうやら察するに神戸市は区役所を申告相談会場にして公にすると納税者が殺到して雑踏警備まで心配せねばならぬために朝霧歩道橋事故の二の舞を踏むのを恐れて市が婉曲に断ったのが真相かと思われました。然し相談会場の設営なら数百人収容の大会場もあることだし如何様な方法もあったでしょうに、ホンにお役所の考えることは硬直的ですね。市民の便宜などよりお役人の身の保全の方がずっと大切なのでしょうか。
区役所に派遣された不運(幸運か?)な税理士さん手持ち無沙汰で居眠りをしていたりして…{%tohoho_a%}
先週の新聞で見たのですが、最近多くなった禁煙タクシーについての苦情が相次いでいるそうです。不思議なことに、実は煙草を吸ってはいけないのは乗客であって運転手には禁煙せねばならぬ決まりがないそうです。{%warai_a%}思わず笑ってしまいますが何でも禁煙タクシーについては国土交通省の旅客運送事業運輸規則に定められているそうでありその中には乗客に対しての禁煙を定めて居ながら運転手については何も記載がないとか、{%komaru%}全く人を小馬鹿にしたこの規則は例によって国交省の高級官僚が煙草を片手に鼻の下を長くしながら業者からの夜のお接待でも想像しながら草案したものでしょう。それにしても国会では誰も不思議に思わず通過していますから殆どの法案が誰も何も見ていない儘成立しているのが丸分かりですよね。“禁煙タクシーと定められた車輌に乗車する者は…”と書かねばならぬ処を、“禁煙タクシーに乗降する客は…”と書いてしまったものでありましょうが、如何にもお粗末な話ですよね。利用者からの通報で“禁煙車に乗ったのに煙草臭い!”と苦情が寄せられて調べた結果上記の如き事実が判明したそうですが、此には更にオマケがあり国交省の通達で車の屋根に禁煙マークの表示灯を装着するように義務付けられているにも関わらず、この法律に便乗して市販の禁煙ステッカーを張って誤魔化し客を拾っているタクシーが続出し、吹田市の国立循環器センターが新設した禁煙車専用乗り場ではこれらの偽禁煙タクシーまで現れたために、これを排除したら此の専用乗り場に釘がばらまかれる嫌がらせまで発生し、警察まで出動する騒ぎとなったとか…、タクシー会社の縄張り争いはヤクザの世界と変わらぬ程厳しくて、例えば鈴蘭台駅では神鉄タクシーで占められ他のタクシーが入れない不文律ができていることは何方もご存じですが、病院ですら縄張りの対象とは驚きですね。如何に不景気と高料金によりタクシー離れが進んだとは謂え、世のモラル低下が歎かれますね。いっそ全タクシーを禁煙車にして、違反は運転手行政処分6点などにしたらどうでしょうか。免停は自身の死活問題ですから運転手も少しは自覚するのではないでしょうか。何れにせよ乗客が禁煙で運転手が喫煙可では本末転倒であり主務官庁の業界寄りを如実に示したものと謂えるでしょう。くたばれ!国交省
先月一番悪い奴は誰だ!に日興コーディアル証券が登場したことはご記憶でしょう。あのときは一般庶民の健康には関わりがないから2番目に悪い奴だと書きましたが、その後この会社が97年に起こした不祥事で有罪となった当時の常務に対しその後関係会社の嘱託として処遇し現在まで続けて年間2000万円もの報酬を支払っていたことが発覚しました。これは明らかに身代わり出頭の代償であり、会社が起こした不祥事をこの常務に肩代わりさせたことを意味しますから前経営陣もその責を負わねばなりませんが、既に時効と有っては前経営陣も逃げ得となったようであり、真に悪い奴は前会長の金子昌資、前社長の有村純一を含む前経営陣元経営陣全員であったと思われます。
今回不正な会計処理の発覚により設けられた特別調査委員会は彼等に対し約35億円の損害賠償を求める方針を固めたと今朝の朝刊で報道されましたが、一方昨年末にこっそりと受け取っていた退職金それぞれ数億円については、社内規定に定めたものであり返還は求めない方針を明らかにしております、然し此こそ元常務の処遇の変形でありますから今後世間の批判の目を逃れそうになく、此では武士の情け処か意地悪そのものであり、退職金没収損害賠償金20数億円の場合よりずっと彼等の居心地が悪く、これって或る意味で調査委員会の報復手段かも知れませんね。{%gakkari%}
前経営陣元経営陣共に表も歩けず、今頃は財産没収を恐れて姉歯事件当時の総研社長内河健のように財産の名義変更に忙しいことでしょう。来年の今頃税務署から贈与税の出頭命令が来て青くなったりして…{%saiaku%}
先週の答え
『児孫(じそん)のために美田を買わず』
“子孫のために良い田を買うことはしない。財産を残して安楽な生活をさせると、子孫が立派な人間に育たないので財産は残さない方が良い”と謂う意味です。
西郷南州翁の遺訓として有名であり、多くの立派な方の2代目が暗愚となり没落するのは残された財産のために苦労のない怠惰で安易な生活を送るためであり、財産はない方が世間の荒波に鍛えられて立派な子弟が育つと謂うことでしょう。
処が先週のM新聞“みんなの広場”欄で面白い投書が載っていました。題して『僕らの力で美田を残そう』であり、自然保護と四季折々の日本の風土を何時までも保ちたいとの憂いからの投書であり、美田と謂う表現は上述西郷南州翁の遺訓から引用されたものと思われましたが、美田とは本来沢山の収穫が期待される肥沃な田地(広辞苑第五版より)を意味するので、投書された方の自然の風物詩としての田畑を美田とは呼ぶには些かの違和感があり戸惑います。然し、世の移り変わりは激しく食糧自給率の低下にも関わらず我が国政府の農業政策が無策に終始した結果がそこら中荒れ果てた休耕田だらけでは、美田か荒蕪な田地かの選り好みをしている時代ではなくなったせいではないかと考えました。{%gomenne%}
現代の若者は年配者も含めリストラされてもお百姓などする気は更更有りませんから如何に肥沃な田地であっても親から田畑を貰うこと自体が迷惑であり、“呉れるなら金で呉れ”でありましょうから西郷南州翁も “おいどんの考えが誤解されちょるばい”と泉下で苦笑されているのではないでしょうか。{%shiranai%}
今週の問題
『(そくいん)の心は仁の端なり』
( )内の平仮名を漢字に換えてその意味を答えて下さい。