タンポポ

小春日和が続いてもう春が近い。確定申告も愈々終盤戦に入っている。昨日漸く電子送信を終えた申告書控をお得意様にお渡しするため郵便局に出しに行く途中道端で健気に必死に咲いているタンポポを見付けた。何もこんな処で咲かなくても…と思ったが風に吹かれたタネがコンクリートの割れ目に入った運命には逆らえず少ない雨にも堪えて懸命の発芽だったろうな。それに此のど根性タンポポは今は西洋タンポポに駆逐され余り見られなくなった関西タンポポだ。西洋タンポポは派手に大きくて総苞外片、所謂涎(よだれ)掛けが下を向いているが、関西タンポポなど在来種は必ず上向きで花を包み込んでいるのですぐに分かるのだ。

昨年度は各地の呼びかけでふるさと納税に気合が入り、申告に持参される書類の中に地方自治体の領収書が随分多くなってきた。でも何町町長誰某と書かれたものが多く申告の際何県何郡と書くことになるので調べるのに手間取って困る。町長の名前など知りたくないし、単に何県何郡何町と書いて欲しいものだ。
この制度は税金さえ払って居れば寄附と変わらぬ還元となる不思議な制度だ。ふるさと納税の寄附をすれば寄附金(総所得の40%まで)から2000円控除したものが所得控除されるから、譬えば所得税が10%課税されるとして寄附金が3万円なら所得税は2800円廉くなる。
さらに住民税においては所得控除でなく税額控除に変わり翌年の住民税から控除される。ふるさと納税の目的は各地特産品のお土産だが、税金まで減額されるのは笑いが止まらないよね^^。

でも寄附金を貰った市町村は可成りの利得があると思うが、腑に落ちないのは寄附金控除で住民税が安くなるのは我々納税者の居住する処だから神戸市は割が合わないね。その辺の振替調整をどうするのか我々には分からないが、国から交付される地方交付税で調整されるのだろうか。

先月末開幕された囲碁阿含桐山杯で15歳の中学生林くんが88歳の杉内寿子プロ女流八段(現役で活躍中)を破る金星を挙げた^^。73歳差は新記録だ(゚Д゚)。此の杉内八段のご主人は現在95歳の現役九段であり、昨年東大法学部出の石倉昇九段を破ったことをご紹介したから覚えていられるだろう。90歳を前後にしてご夫妻が現役のプロ棋士を務められるだなんて信じられないが歴とした事実だ。それにしても囲碁は幾つになっても強くなれるし弱くならないし唯一コンピュータに負けない知的スポーツだったが、その極意は意図的に損をした方が勝負を有利に導くことができると謂う損得を乖離した逆転の発想が旧来型のコンピュータにはなく人間の前頭葉にだけ存在した所以なんだ。受験勉強に囲碁の発想を採り入れれば東大合格も容易だが、うちの孫が東大不合格だったのは囲碁が覚えられなかったせいだと私は信じている。
尤も囲碁のプロ初段になるには東大医学部に合格するに匹敵する頭脳が必要だと謂われているからどっちも難関だが、少なくとも囲碁が強くなった少年は、同学力の子ども達より圧倒的に近道を走れるから東大合格率が髙くなる道理だろう。

アルファ碁

処がグーグル製コンピュータソフトのアルファ碁が世界最強の名人韓国の李世ドル九段(日本の井山名人に先日勝ったばかり)との5連戦で昨日までに3連勝を飾ったと、今朝の毎日新聞朝刊一面4段抜きトップ記事に躍り出ている。囲碁が一面を飾ることは滅多にないことだ、恐らく史上初めてではないだろうか。10の360乗という膨大な計算の選択肢はコンピュータでは到底無理で、人間の感性により決まるものである定説が昨日脆くも打ち壊され、5勝で人間が全勝すると断言したのは李世ドルばかりでなく日本のプロも同様だったが、結果はこのような無様なものでグーグルは1億円を賞金100万ドルを慈善団体に寄附すると発表した。韓国に取られなかっただけ良かったと思うべきだが、実(げ)に恐るべきはコンピュータの力だ。私は昨日第三局の実戦対局をネットで拝聴していたが、コセコセした着手がなく大らかな着手なのにたった70手そこそこでアルファ碁が優勢を築き、さらに終盤三劫(打ち直し)になるかと思われた難解な死活をいとも簡単に劫立てまで読み切り短時間で李九段を投了に追い込んだからメチャ驚いた。一回「待った」となる劫はアルファ碁の計算では尤も苦手とする処だったからだ。偶々李九段が不調だったのかも知れぬが、1目や半目に拘るいじましい現代の碁とは異なり、アルファ碁の茫洋とした着手は囲碁界に大きな衝撃を与えたに相違ない。世に「大局を制する」と謂う言葉があるが、「大局を制する」とは1目、半目に拘泥することではなく、「後手の先手」を目指すことではないかと私は思う。アルファ碁第三局の悠揚迫らぬ70手目が将にその手であり、解説していたプロも「此れで良いのか?」と次の言葉がなかった。
若手の中心の我が国ではきっとアルファ碁に刺激されて、半目に拘らないもっと大きい碁が築き挙げられるよう切磋琢磨されんことを期待したいと思う。

米連邦捜査局FBIがテロリスト容疑者の持っていたiPhoneのパスワードロック解除をアップル社に申し出て断られたニュースはお粗末すぎてショックだった。めちゃくちゃに壊れたスマホの解析だってFBIなら容易にできるものと誰もが思って居たもんな、そうじゃなかったんだ。FBIもとんだところで馬脚を現したね(;;)。北朝鮮からのサイバー攻撃には一体からどうして応戦するの?

先週水曜日関西電力高浜原発3号機4号機稼働に対するよもやの敗訴は世を震撼させ号外が舞いとんだ。原発の稼働は国が認めたものだから大津地裁の判決は国の決定に対する地方の反逆だ。でも全ては29日の4号機の異常緊急停止が齎(もたら)した結果だろう。山本義彦裁判長は省内での出世を諦め左遷を覚悟の判決であったろう。だが琵琶湖の汚染を憂いた彼は正しい。
「あとからくる者のために/苦労するのだ/我慢するのだ/田を耕し/種を用意するのだ/あとからくる者ために…」詩人坂本真民の詩「あとからくる者のために」と謳っている。原発は少しでも人々が連なる時間について「あとからくる者」のことを考えたことがあるのか!

三省堂国語辞典の「役人」
地方や国の行政に関する事務を扱う人

新解さん

新明解国語辞典の「役人」
公務員、用例として「役人根性=役人特有の横柄で融通の利かない考え方」
何時もながら手厳しいね^^。
三省堂国語辞典だけでは片手落ちだという声が多く、今週は新解さん第七版の装丁を見て頂きます、帯をよく御覧下さい、「日本で一番売れている国語辞典」と胸を張っていますよね^^。

先週の読みたくても読めない字
脇道に逸(そ)れる 

今週の読みたくても読めない字
友と(逸)れる