久し振りに今日は冷たい雨の日曜日です。師走を迎えて早くも喪中の便りが届く季節となりました。日経平均は先週末15000円の大台を突破し、円は1ドル120円70銭と日本経済には良いこと尽くめでありますが、どうも日本経済が過大評価され何やら嘘っぽく感じられるのは我々が呼吸している神戸や明石の町が疲弊しきって活力を失っているからです。

日経平均15000円は5年振りだそうですが5年前は神戸も明石の商店街も売上は現在の2倍ありましたから、この景気はどう見ても見せかけの張りボテでありその内美味しいところを食い荒らして外資が資金を引き揚げると後にはペンペン草しか残らなかったと謂うような惨状を露呈するのではないかと懼れています。(;;)



皆様は古野電気という会社をご存知ですか?西宮尼崎間のJR北側の田圃の真ん中に大きな本社工場があるのを思い出されたことでしょう。船釣りの方は知らぬ方はありません。この会社は世界一の魚群探知機のメーカーであり、今年6月堀江謙一さんのヨットが単独無寄港世界一周を終えて帰って来られましたがその航海を支えたのが古野の船舶用電子機器だったことはよく知られています。現在では医療器械分野にまで手を広げて活躍する資本金75億円年商800億円の中堅企業です。

この会社が私のWEBに登場した理由は、先週の日経新聞夕刊の"人間発見、ひとスクランブル"に1週間登場されたのがこの会社の創業者である名誉会長古野清隆氏でありました。この方の人生は正に波乱万丈であり家庭の貧困から中学校も中退され、生まれ故郷の長崎島原で"魚の居場所は漁師の勘じゃ!機械で魚が獲れるか!"と漁師達に嫌われ、学者から魚は殆ど水でできているから超音波は突き抜けて見えないと言われながらも遂には小型魚探機の完成に成功されましたが、漁師たちの反発は大きく探知機(タンチキ)やなくインチキや!と相手にされずやっと理解のある船主に巡り合って魚探を船に積んだら船頭が怒って船を下りてしまい止む無く氏の弟である清賢さんが俄(にわか)船頭で出帆する騒ぎなどありました。時は昭和24年、古野さんの"魚探"が当時のお金で一晩600万円の水揚げ記録を作ったことから、その後は漁師のプロといわれた船頭達が清賢さんの船の後を纏い付いてくるようになり形勢は逆転し、更には漁師達が百円札をリュックに詰め込んで会社の前に列を作るようになったそうです。魚探の価額は1台60万円と当時は家一軒分位でありかなり高価でしたが何しろ一晩300万円以上の漁ができるとあっては"プロの勘"もクソ食らえであり、清賢さんには"月給100万円出すからうちの船に乗ってくれ"と会社に居座る船主さんまで出てくる始末、今では"FURUNO"の"魚探"を積んでいない漁船や釣り船は世界中にありません。それからもこの会社はその豊かな発想から海鳥探知機まで開発されましたが、それまで双眼鏡で海鳥を探していましたから晴れた日でも精々5キロから6キロと視界が限られ、運不運の世界であったのが海鳥探知機の発明によってカツオドリの舞っている場所が雨でも40キロ先まで分かるようになり、この鳥の下には間違いなく鰯(いわし)が居り、更にその下の海中に鰯(いわし)を狙う鰹(かつお)が居るのでした。それまでレーダーは鳥の身体を突き抜けてしまうのが学者間の一般常識でしたからその常識破りに挑戦され、試行錯誤を重ねながら目出度く成功を収められた氏の根気には敬服致しました。若し氏がちゃんと学校を卒業し学士論文を書いた方なら到底試みなかったであろうと思われることを実行され成功されましたから、我々が学校教育で得た常識が予断により如何に我々自身の視野や判断や行動範囲を狭くしているかが良く分かります。人間は夢と志を失ってはならないことを先週1週間の"人間発見、ひとスクランブル"から数多く学びました。氏の行動力の驚くべきは10年前の阪神大震災のとき六甲山の自宅から長田区の工場まで自ら自転車で被災地を縫って向かわれ復旧作業中の従業員を驚嘆させたそうです。何故ならこのとき氏は75歳だったのです。

創業者で会社を大きくした人は必ず何処か普通の人と違ったものを持って居られます。氏の場合は物事の奥だけでなくその又奥を洞察する力と不可能を信じない弛まぬ信念を持って居られたと思います。常識は破るものであり、氏には常識外れが常識であったのではないでしょうか。氏が46歳の若さで紫綬褒章を贈られたのも宜(うべ)なるかなでありました。



『睡られぬ 勝ちを読みきり 時間切れ』

上の句は毎夜一局だけ対局するために参加している囲碁ネットが毎年秋に募集する05年度囲碁川柳に優秀作として採用されたものです。賞品に何が頂けるか楽しみにしています。(^^)

選者は日本将棋連盟異色のエッセイスト先崎学八段であり、昨年偶然佳作に選ばれたので今年も投句をとずっと気に掛かっていたのですが忙しくて漸く10月31日締切日の夜に慌てて考え数句メールした内の1句です。

この句については囲碁をご存じない方には説明が必要でしょうね。ネットの囲碁にも時間制限があり、お互いの合意で対局時間を決めますが、通常は25手単位で時間を取り決め、その時間内に着手が終了しないと時間切れ負けになる規則です。通常は5分ないし10分で合意しますが、余りの早打ちや長考派で3分とか15分を希望する方は相手から敬遠されて対局相手が見付からず、無聊を託(かこ)つことになります。碁会所では相手の長考に辟易することがありますがネットは双方が同条件なので長考派とは対局を避けることができてその点すこぶる公平と謂えましょう。

画面の右上に残り時間と残り着手数が表示されているので普段はしっかり見ているのですが、夢中になると熱くなって盤面に集中しうっかり時間を見るのを忘れます。特に入念に計算し、勝ちを見極めた途端"あなたの時間切れ負けです"のテロップが画面を横切ることが多く、あっと仰(の)け反りますが相手からの"Thank you"の嬉しそうな挨拶(チャット)が恨めしいやら情けないやら勝っていただけにその夜は寝つきが悪く睡眠剤が1錠増えることとなります。(;;)同じように相手の時間が切れて負け碁を拾い熟睡できることも結構ありますからお互い様ですよね。(^^)



大手銀行6グループの上半期の利益が1兆7千億円とか、中でも三菱UFJは7129億円とトヨタの利益を1000億円以上も上回り日本で最高水準に達しました。この間まで公的資金導入などと政府から手厚い保護を受け、自分達が惹き起こしたバブルの尻拭いを国にさせておき乍ら一方では預った預金の100倍もの金利を稼ぎ、更にはATM手数料でボロ儲けですから何千億円儲かっても不思議はありません。

それにしても3%平均の貸出金利の原価である庶民から預っている預金の定期預金利率0.03%が何時までも据え置かれているのは解せぬ話であり、元はと謂えば自分達が蒔いたバブルの種を自分達で大きく育てて於いてその果実である不良債権の償却に貸し金利息と庶民からの預金利息との100倍差額で埋めて置きながら、償却が済んでも預金者には礼の一言もなく素知らぬ顔であり、その挙句がこの数字の発表ですから国民は全員立ち上がり預金者の利息を上げるように銀行を弾劾せねばなりませんね。然し悪賢い彼等は日頃から政府や金融庁に沢山貸しを作っていますから、ことあれば役人を前に立てて我々の筵旗に刃向かう心算でしょうから勝算はありませんがそれでも誰も怒らないのか!

三菱UFJばかりではありません、みずほ銀行まで3400億円の儲けだそうです、バブル時不良債権の責任を取って退職金を凍結されている一勧杉田力之以下富士興銀の三頭取はきっと"時ぞ来たれり"とほくそ笑み、来年の株主総会で退職金を一体幾ら貰えるのか指を数えて待っていることでしょう。勿論指一本が1億円ですから足の指まで数えないとなりませんね(^^)奥さんの指まで数えたりして…(>_<)

三井住友もみずほより多い3900億円の巨益を得ていますが、中小企業の融資申し込みに対し融資の条件として巨額な金融派生商品"金利スワップ"を抱き合わせで売りつけていた事実が暴露され公取から排除命令まで出される羽目に陥っています。記者会見で平沢副頭取は"知らぬ"とシラを切っていますが幹部が命じないでどうして部下が抱き合わせ融資など勧誘しますか、弱いもの苛めは昔から銀行の得意とする処ですが、多寡が金貸しの癖して預けた者借りた者の双方を甚(いた)振っては儲からない道理がありませんよね。商工ローンも武富士など消費者金融も資金は彼等が回してのものですから、銀行は諸悪の根源と謂わざるを得ないでしょう。金融庁は"お前ら儲け過ぎや"と全ての貸付金利を現在の1/5に引き下げるか或いは預金者の利息を5倍に増やすかの強権発動ができないものでしょうか。それでも預金者の利息と貸し金の格差は20倍もあり消費者金融の利鞘幅と変わらぬではありませんか。いやいや金融庁は日本の銀行がぼろ儲けして世界の銀行と肩を並べることを何よりの念願としていますから庶民の願いは先ず無理でしょうね。(;;)



女子プロゴルフもオフシーズンに入りましたが、今年は横峰さくら選手に代表される若手が大勢台頭し、元賞金女王2名がシード落ちするなど新旧勢力世代交代の時期となりました。宮里選手もアメリカでのプロ資格をほぼ手中に収めた如くであり、予選ラウンド4日目現在17アンダーとダントツのトップですから日本の女子ゴルフが世界に通用することを充分に証明されましたが、イチローや松井選手等に続いて宮里選手にまで渡米されては国内が寂しくなるし何より近年韓国勢の力がじわじわと押し寄せているのが脅威です。これは技術の違いと謂うより偏に日本と韓国のハングリー精神の違いに帰すると考えます。我が国でも戦前は尋常小学校を卒業すると見知らぬ土地へ丁稚奉公や紡績工場に働きに行き、故郷の父母や姉妹がひもじい思いをしないようにと僅かな給金を送ることを何よりの喜びとして年季明けまで懸命に働いていましたが、今の韓国選手はきっとそれに近い環境にあるものと思われます。日本選手の中で家族を食わすために働いているのはさくらちゃん独りですものね。(;;)



思えば一昨年11月9日にWEBの更新を毎日曜日の夜に決めて何時まで続くのかな?と疑心暗鬼乍らスタートしましたが、何とかマル2年が経過しました。風邪で高熱のときや骨折、更には仕事に追われダメかと思うことも幾度かありましたが皆様の激励のメールに元気付けられ今日まで何とか踏ん張り、先月10日に目出度くもありませんが70歳の古希を無事迎えることができました。これも偏に皆様の励ましの賜物と感謝しております。あと何年続けられるか分かりませんが"世に盗人の種は付きまじ"末世の昨今欠陥マンションを設計したり、それを素知らぬ顔で売ったりと盗人より悪い奴が横行していますからWEBネタには事欠きません。もう暫らく頑張ってみようと思っておりますのでどうか今暫し少しお見守り下さい。