海外インターネットサービスに係る消費税の課税について大きな見直しがあり、五月に国税庁からQ&Aが出されました。

国 境 を 越 え た 役 務 の 提 供 に 係 る 消費税の課税の見直し等に関するQ&A

電気通信利用役務(インターネットサービス)の提供が国外で行われたか国内で行われたかを判断する基準は、今までサービス提供側の住所だったのですが、平成27年消費税法改正でサービスの受け手側の住所とすることになりました。
つまり海外事業者が海外サーバー(たとえばDropboxなど)を利用し、日本に住む個人事業者や法人に対してサービスを提供する場合は今後、国内取引として扱うということです。
とすると日本の消費税の課税問題が発生します。
これは平成27年10月1日以後の取引から適用されます。

国外事業者が行う電気通信利用役務提供を「事業者向け電気通信利用役務提供」と「それ以外の電気通信利用役務提供(以下、消費者向け電気通信利用役務提供という)」に分類します。
事業者向け電気通信利用役務というのは、事業者しか役務提供を受けられないサービスをいいます。
具体的には法人限定のデータセンターで個別に契約書を交わすようなものです。

事業者と消費者のいずれも利用できる電気通信利用役務は、消費者向け電気通信利用役務に含まれます。
たとえばネットショッピングモールや安価なクラウドサービスは、一般に法人も個人も顧客になれますから「消費者向け」に分類されるでしょう。

消費者向け電気通信利用役務提供を与える国外事業者は、消費税の納税義務が発生します。
でも海外のサーバーを相手に国税庁がどこまで調査・徴税できるのかはわかりません。
もちろん、課税売上1000万円以下の場合免税になるのは国内事業者と同様です。

一方、消費者向け電気通信利用役務提供を受けた国内事業者は、(当分の間)国外役務提供者が国税庁に登録していない限り、その役務費用について仕入税額控除を受けられません。

事業者向け電気通信利用役務提供については、サービスの利用者が「一般課税で課税売上割合95%未満」という条件を満たす場合、特定課税仕入(課税標準)としてその8%(国税6.3%+地方税1.7%)を申告納税しなければいけません。
同時に課税仕入として仕入税額控除をすることもできます。
しかし課税売上割合95%以下だから全額控除されるとは限らないことに注意して下さい。
これを「リバースチャージ方式」というそうです。

このほかに海外芸能人の国内での役務提供に係る消費税についても改正されましたが、省略します。